萬人一語

変人の大切な条件「Be Yourself」

2021年10月号掲載

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2021年10月号掲載

変人の大切な条件「Be Yourself」

 今年発表された「イグ・ノーベル賞」の「動力学賞」には、「歩きスマホ」が人にどう影響を与えるかを突き止めた村上 久・京都工芸繊維大学助教らの研究チームが選ばれた。

 このニュースを聞き、『京大変人講座』とその続編『もっと!京大変人講座』(ともに三笠書店)を再読することになった。その中で山極寿一・京都大学総長は、「変人がいるから人類は繁栄してきた。変人でないと、これまでとは違う発想ができない」と言い、さらに「研究者は初めから変人ではない。訓練をして変人になる。そうなるために毎日『くだらない』『つまらない』と言われても、自分の立てた問いに固執しながらとにかく深く切り込んでみる。他人と対話をし『それ、おもしろいな』と言ってもらったら、さらに未踏峰に挑戦する。対話をしながら孤独になるんだよ」と述べている。

 変人講座発起人の酒井 敏・京都大学人間・環境学研究科教授は、「人間も、地球上に生息する生物の一種です。その生物は、数が多いという意味での『普通』の生物もいますが、『変なヤツ』もいっぱいいます。そして変なヤツこそ進化をもたらす大事なヤツ、普通は普通で悪くはない。でもそれは『正しい』わけじゃない。別に『変』でもいいじゃないですか。もしかしたら将来、それが普通になるかもしれないし」と最後に結んでいる。

 ところが、大学でも徐々に「変人」が許容されにくくなっているらしい。一般社会ではなおさらだろう。変人の大切な条件は「Be Yourself:あなた自身であること」だという。「自分自身じゃないまま生きていること」に悩んでいる人に届けたい言葉だ。