萬人一語

コロナの転機をチャンスに変える

2020年7月号掲載

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2020年7月号掲載

コロナの転機をチャンスに変える

 福岡県で緊急事態宣言が解除されて1か月が経過した。

 当院では、今回のコロナ禍において受診抑制による経営的打撃に加え、呼吸器感染症対策の継続が課題である。また患者さんの健康観にも大きな変化が起きている。マスコミ報道などによって、以前よりも自分の身体や健康に興味をもち、予防の大切さを実感し、特に感染対策にはより厳しい選別の目が向けられている。しかし当院では「今、歯科医療は何を求められているのか?」を考え続け、ICT(情報通信技術)の利活用を感染対策の一環として行うことで、この転機をチャンスに変えようとしている。

 たとえば、人と人の接触機会を減らすために自動受付・精算システムを導入する。同じくタブレット端末を駆使し、診療説明ならびに在庫・マニュアルなどの業務管理と情報共有にも活用する。この業務効率化によってスタッフの働き方改革も実現可能だ。また個室での診療中の移動を減らすために、インカムと口腔内カメラなどを活用して遠隔診断・保健指導を行う。さらにスマートフォンなどによる遠隔(オンライン)診療・相談によって、口腔機能に対する機能訓練なども可能だろう。

 私たちは、口腔を通じた「全身の感染対策」と、「咀嚼」「嚥下」「会話」「呼吸」「睡眠」という生きるために重要な機能を支えている。かかりつけ歯科医としての覚悟と誇りをもって地域医療に携わり、スタッフたちとともに地域住民の健康を守り続けたい。それらのことを、開業当時よりも強く強く思う日々である。