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2014年4月19日

第5回日本デジタル歯科学会学術大会開催

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 さる4月19日(土)、20日(日)の両日、大阪歯科大学天満橋学舎 創立100周年記念会館(大阪府)において「第5回日本デジタル歯科学会学術大会」(日本デジタル歯科学会主催、末瀬一彦会長/大会長、中村隆志準備委員長)が開催された。今回は、昨年の「日本歯科CAD/CAM学会」からの改称後初の学術大会であったが、400名あまりを集める盛会となり注目度の高さをうかがわせた。

 初日の会場ではまず、末瀬氏が「CAD/CAMシステムの現状と展望」と題して大会長講演を行い、続いて十河基文氏(阪大歯学部歯科補綴学第二教室、株式会社アイキャット)が「デジタル・デンティストリーの「最初の第一歩」― CT による診査・診断とその応用 ―」と題し、また南 昌宏氏(大阪府開業)が「デジタル機器を活用した審美修復治療」と題してそれぞれ教育講演を行った。その後、企画講演として水口俊介氏(医歯大大学院高齢者歯科学分野)が登壇。「CAD/CAM による全部床義歯製作の現状と未来」と題し、CAD/CAMがクラウン・ブリッジの次に目指す領域のひとつとして注目される全部床義歯製作の現状とその展望について、試作品をスライドで呈示しつつ語った。

 また、その後も教育講演が続き、濱田良樹氏(鶴見大歯学部口腔顎顔面外科学講座)による「当科における Computer Aided Oral & Maxillofacial Surgery」、畠中利英氏(奈良県立医科大学附属病院医療技術センター口腔外科技工室)による「口腔顎顔面外科領域におけるデジタル技術と歯科技工の役割」の2題では主に大規模な顎顔面補綴の話題が挙げられ、顎骨の切除・整形から修復に至る各工程においていかにデジタル技術が活用されているか、そのメリットが示された。

 また2日目の午前には、企画講演と題して各社の口腔内スキャナーの特徴や精度に迫る演題が並び、草間幸夫氏(東京都開業)、上野 学氏(スリーエムヘルスケア歯科用製品事業部)、飯島俊一氏(千葉県開業)、Lok-Kin Lau氏(3Shape A/S)がそれぞれ、CEREC AC OMNICAM(シロナデンタルシステムズ)、True Definition Scanner(3M ESPE)、iTero(Align Technology,大信貿易)、Trios(3Shape A/S)の特徴および精度について紹介。いずれも甲乙つけがたい精度をもつ装置だけに、今後の市場における動向が注目される。

 その後、午前中の締めくくりとして特別講演が行われ、原 清治氏(佛教大教授、教育学部長) が「学生の学修力を喚起するためのIT機器を利用した授業方法」と題して登壇。現代の大学生の、「疑問を友達に聞こうとしない」「教員都合の休講が続くと苦情が出る」「以前にくらべて真面目になった」といった気質に応じた教育法が必要との趣旨から、「携帯電話を積極的に活用した授業」「発言に応じてポイントが得られる『発言カード』の導入」「大学院生を活用した、言葉の『硬度』を下げた解説」「目指す職業について、まず概論を教えるのではなく、むしろ最先端の知見や3年生に教えるような高度な内容を教えたほうが関心を得られる」といった教育学の専門家ならではのさまざまなトピックが語られ、会場に多く参加していた大学関係者の注目を集めていた。

 そして2日目の午後は、教育演題が3題と1題のシンポジウムが開催された。教育講演としては、十河厚志氏(デンタルデジタルオペレーション)による「審美修復技工におけるデジタルソルーション」、玉川裕夫氏(阪大歯学部附属病院医療情報室)による「歯科領域デジタル情報の何をどのように活用できるのか」、杉山昌二氏(東京都開業)による「デジタル技術を応用した矯正診断と治療の優位性について」の3題が、そしてシンポジウムとしては「デジタル機器を応用したインプラントソルーション」の標題のもと、日高豊彦氏(東京都開業)と中田光太郎氏(京都府開業)の2氏が登壇。シンポジウムでは両氏ともに、デジタル技術の恩恵を受けた正確なインプラントポジションを基盤とした、審美性の高いインプラント補綴を呈示し、注目を集めていた。

 なお、来年度は主管校を福岡歯科大学とし、佐藤博信大会長、松浦尚志準備委員長(いずれも福歯大咬合修復学講座)のもとできたる2015年4月25日(土)、26日(日)にかけ、福岡国際会議場(福岡県)にて開催されるとのこと。