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2014年8月29日

日本デジタル歯科学会サマーイブニングセミナー開催

今注目のCAD/CAM冠と口腔内スキャナーをテーマに

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 さる8月29日(金)、昭和大学(東京都)において、日本デジタル歯科学会サマーイブニングセミナー(日本デジタル歯科学会主催、末瀬一彦会長、日本医用歯科機械学会共催、宮崎 隆大会長)が開催され、120名以上が参集した。今回は、保険導入から4ヵ月が経過したCAD/CAM冠と、今後の臨床応用で注目度の高い口腔内スキャナーという2つのテーマで構成されていた。

 第1部の「CAD/CAM冠」では、まず、小椋正之氏(厚生労働省保険局医療課歯科技官)が登壇し、CAD/CAM冠を保険導入した経緯や届出の執筆方法について解説した。また、疑義解釈から引用する形で、(1)届出に明記しておくことで、CADとCAMの設置技工所は別でも良い、(2)保険医療機関に院内で勤務する歯科技工士がいても、保険医療機関内にCAD/CAMがない場合は、届出にその院内歯科技工士の名前は不要など、多くの臨床家が疑問に思っていた内容に解答していった。  次に登壇した宮崎氏は、CAD/CAM冠用材料の特性について講演を行った。その中で、CAD/CAM冠で用いられるレジン(架橋性ポリマー)と従来のレジン(線状ポリマー)の違いを解説し、物性としてはCAD/CAMで用いられる材料のほうが安定・強化されていると述べた。そして、今後はより接着操作が重要になると講演を締めくくった。
 末瀬氏は、CAD/CAM冠の臨床応用上の留意点について講演を行った。氏は保険治療であっても、従来の全部鋳造冠、硬質レジンジャケット冠、そしてCAD/CAM冠との違いを患者に説明しなければならないと述べ、そのためにはCAD/CAM冠の特徴を知っておく必要があると述べた。また、CAD/CAM冠を臨床応用する際には、以前よりも支台歯形成がより重要になると強調した。

 第2部の「口腔内スキャナー」では、口腔内スキャナーを取り扱う4つのメーカー(1)CEREC(シロナデンタルシステムズ)、(2)iTero(大信貿易)、(3)True Definition(スリーエムヘルスケア)、(4)TRIOS(スリーシェイプ)、の担当者が順番に登壇し、自社が扱う口腔内スキャナーの特徴を紹介した。
 その後、金田悠拓氏(独立行政法人医療品医療器械総合機構医療器械審査第二部審査専門員)が登壇し、薬事審査をする立場から、現在の口腔内スキャナーの薬事審査の現状や展望について解説した。

 第1部、第2部ともに終了後には、演者が壇上に上がり、ディスカッションが行われた。CAD/CAM冠、そして口腔内スキャナーという注目度の高いテーマであったこと、そして、小椋氏や金田氏といった、普段の講演会ではあまり話を聞く機会がない演者だったこともあり、会場からは多くの質問が飛んでいた。

 歯科界のデジタル化は今後、ますます進んでいくことは間違いない。その中で、日本デジタル歯科学会が、今後はどのようなトピックを発信していくのか注目したい。