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2014年10月25日

細菌学・免疫学の権威 グンナー・ダレン教授が来日公演

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 さる10月25日(土)、26日(日)の両日、日本歯科大学生命歯学部九段ホール(東京都)にて、AFD(未来歯会)主催によるグンナー・ダレン氏(イェテボリ大口腔細菌学主任教授)の特別講演会が開催された。講演は、ダレン氏と旧知であるAFDの岡本 浩氏(東京都開業)と竹内泰子氏(東京都開業)が進行を担当。世界屈指の細菌学と免疫学の権威であるダレン氏の講義を聞こうと、約180名の歯科医師や歯科衛生士が参加し、2日間とも会場はほぼ満員だった。

 「バイオフィルムを極める!―ミクロの世界、臨床とリンクする驚異の生態を知る」と題された講演の演目は、(1)「口腔細菌」、(2)「口腔内細菌環境」、(3)「デンタルプラークの形成―バイオフィルム」、(4)「コロニー形成と感染」、(5)「抗菌薬、抗生物質、プロバイトティックス」、(6)「歯周病の細菌学」、(7)「根管治療の細菌学」、(8)「カリエスと粘膜病変の細菌学」の8つで、細菌に関する学術的な解説を主とした(1)から(4)までが1日目に、臨床面からの対処法を主とした(5)から(8)までが2日目に講義された。

 ダレン氏は、著書であるスカンジナヴィアの共通テキスト『口腔細菌学と免疫学』をふまえ、個々の細菌の性質からバイオフィルムの仕組み、そしてそれらがどのように歯や歯周組織に影響を及ぼすか、それを防ぐにどうすべきかを、長年の臨床から得られた豊富な症例を交えてわかりやすく解説。ときには、細菌の集まりであるバイオフィルムを、「細菌が宿主から身を守るために「サッカーチーム」をつくっている」とたとえるなど、ユーモアを挟んで会場を和ませることもあった。

 2日間にわたる講演の最後には、「細菌は私たちと共生関係にあり、うまくやっていくには口腔衛生が大切。そのためにはバクテリアの恒常性(ホメオスタシス)を保つことが肝心で、だからこそ歯科医療従事者は、何よりも正確な診断を行わなければならない(抄訳)」と述べて締めくくった。その後の質疑応答では、会場の歯科医師や歯科衛生士から寄せられた質問にきめ細やかに回答。予定を30分超過するほどの熱の入りようだった。