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2015年2月8日

(公社)日本口腔インプラント学会 関東・甲信越支部 第5回学術シンポジウム開催

「インプラント治療のエビデンスを再検討しよう ―日本は欧米とは異なる?―」をテーマに約400名を集め盛会となる

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 さる2月8日(日)、日本歯科大学生命歯学部富士見ホール(東京都)にて、公益社団法人日本口腔インプラント学会 関東・甲信越支部 第5回学術シンポジウム(尾関雅彦大会長、渡邉文彦理事長)が「インプラント治療のエビデンスを再検討しよう ―日本は欧米とは異なる?―」をテーマに約400名を集め開催された。

 午前中のセクション1「硬組織の違いを考える」では、まず阿部伸一氏(東歯大)が登壇。日本人と欧米人の顎骨における形態学的特徴の違いから解説を始め、日本人特有の顎骨形態を知り、周囲の解剖を理解することにより、安全で確実なインプラント治療が行えると主張した。次に、小宮山 藍氏(東京都勤務)が日本とスウェーデンにおける国民性、医療システム、文化および人種差を比較し、インプラント療法の差異を社会的な側面から浮き彫りにした。そして、荒井良明氏(新潟大医歯学総合病院)がドイツでの留学経験をもとに講演し、自家骨移植を中心にドイツ人と日本人を比較しながら両国での臨床を供覧した。丸尾勝一郎氏(神歯大)は、治癒期間と荷重プロトコルにおける日本と欧米の差について言及。ここでも日本人あるいはアジア人特有の埋入プロトコルが必要ではないかとの提起がなされた。山口 朗氏(医歯大大学院)は、骨細胞生物学的観点からのインプラント治療について講演し、臨床に生かせる基礎または基礎に立脚した臨床の重要性を説いた。本セクションの最後に演者陣が登壇し、座長や会場からの質問に答えるディスカッションが行われた。

 午後のセクション2「軟組織の違いを考える」では、はじめに上野大輔氏(鶴見大)がインプラント治療における軟組織移植の適応について解説し、欧米のエビデンスは本当に日本人に当てはめられるのか検証していた。次の岩野義弘氏(東京都開業)は、欧米と日本におけるインプラント周囲炎の病態と治療法の違いに注目。多くの論文を引用しながら的確な文献的考察を加えた。栗原一雄氏(埼玉県開業)は、インプラント周囲の軟組織マネージメントとしてマイクロスコープを用いた症例を供覧。軟組織の比較的薄い日本人には、侵襲を少なくできるマイクロスコープが非常に有用だと結んだ。

 セクション2で講演した3名でのディスカッションを終えた後は、午前中のパネリストも加わり、最後は大人数での大討論会となった。ショートインプラントに関する意見が各々の立場から発せられるなどし、40分と多めに割かれていた時間も短く感じるほどであった。

 次回の第6回学術シンポジウムは、今年の8月2日(日)に同ホールで行われる予定である。