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2016年4月16日

歯科技工士有志による「東日本大震災復興支援チャリティ講演会 仙台大会」開催

歯科技工士を中心に約900名以上が参集

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 さる4月16日(土)、17日(日)の2日間、電力ホール(宮城県)において、歯科技工士有志による「東日本大震災復興支援チャリティ講演会 仙台大会」(実行委員長:山本 眞氏、大会長:志田和浩氏)が開催され、歯科技工士を中心に初日898名、2日目には910名が参集した。本チャリティ講演会は、2011年3月に発生した東日本大震災の被災者に義援金を送ることを目的としたものである。本大会においては、事前登録・振込により、定員の1,000名は早い段階で一杯になったものの、チャリティという側面から、会には参加できなくても寄付として登録をしていた方も多かった。定員が埋まった後にも寄付を募っていたこともあり、実質は1,000名以上が寄付に協力したものと思われる。同チャリティ講演会は、これまでも2012年1月の福岡大会を皮切りに、3月に名古屋大会、7月に大阪大会、9月に東京大会と、全国4都市においての講演会と7つのハンズオンコースが開催されてきており、すでに総額28,181,574円を「公益財団法人 東日本大震災復興支援財団 まなべる基金」に寄付している。今回の仙台大会は「東日本が落ち着いたころに、東北地方で集大成と言うべき大会を行いたい」と考えていた山本氏(M.YAMAMOTO CERAMIST'S INC.)と「震災の直後だけではなく、時期を開けて行うことがチャリティにおいて本当に大切なことである」と考えていたWilli Geller氏(oral design)の想いから実現することになった。

 今回の講演会では、2日間にわたり34名の著名な歯科技工士が登壇した。また、歯科業界で初のTED方式でのプレゼンテーションを採用し、ひとりあたり20分の持ち時間の中で、メッセージ性の強い講演が行われた。初日は講演に先立ち、実行委員長の山本氏、大会長の志田氏(PREF)、各支部の代表を務めた増田長次郎氏(カロス)、西村好美氏(デンタルクリエーションアート)、山田和伸氏(カスプデンタルサプライ/カナレテクニカルセンター)、小田中康裕氏(oral design彩雲)、袴田勝彦氏(デンタルアジャスト)による挨拶が行われた。その後、まなべる基金の説明がなされ、実際にまなべる基金の支援を受けている宮城県在住の高校生が自身の高校生活について語るとともに、義援金に対する感謝の意を述べた。以下に演者とその演題を示す。

16日(土)
・「基調講演:世界に見る、歯科の動向」(桑田正博氏、Kuwata Institute Millennium〔K.I.M〕 最高顧問)
・「基調講演:Fusion with nature」(青嶋 仁氏、ペルーラAOSHIMA)
・「明度を基準とした前歯部の色調再現」(吉田明彦氏、Gnathos Dental Studio)
・「無歯顎から歯冠修復にも役に立つ咬合平面と咬合のガイドライン」(佐藤幸司氏、佐藤補綴研究室)
・「治療用義歯のクロスマウントで行う総義歯技工」(須藤哲也氏、Defy)
・「患者満足度のための立会い技工」(岩城謙二氏、I.D.T.デンタルラボラトリー)
・「仕事も遊びも本気で楽しむ、歯科技工所経営」(阿曽敏正氏、アソインターナショナル)
・「DENTSCAPE: Shade Communication through Photography」(相羽直樹氏、Science Art, Inc. / Oral Design Center Monterey)
・「Life Philosophy of making teeth」(佐々木正二氏、大阪セラミックトレーニングセンター宮崎校)
・「This is why.....理由(ワケ)」(山田和伸氏)
・「修復治療における補綴物形態のあり方」(西村好美氏)
・「オーバーカントゥアーにすると歯肉はどうなるのか?!」(小田中康裕氏)
・「BALANCE ―光と影―」(旗手勝浩氏、Ippin Dental Laboratory)
・「Gingival Characterize~Anatomical Gingival Sheding Technique~」(関 錦二郎氏、関錦二郎商店)
・「歯科技工を通して自分が得た大事な事」(遠藤淳吾氏、Oral Design Santa Monica)
・「歯肉を考慮した前歯部審美修復」(肥川憲一郎氏、JTMデンタルラボラトリー)
・「咬頭嵌合位の安定と咬合干渉の回避を考慮した臼歯咬合面形態」(青木健治氏、本多歯科医院)
・「simple & complex」(川村真一氏、FORTE LUX)
・「診査から関わる重要性を再認識した全顎的補綴治療の一例」(中村悠介氏、中野デンタルクリニック)
・「多数歯う蝕におけるラボサイドアプローチ」(菅野雅人氏、dental laboratory miyabi)
・「時代を担う若者へのメッセージ」(坂 清子氏、クラレノリタケデンタル顧問)

17日(日)
・「不正歯列からの審美補綴」(滝澤 崇氏、oral design彩雲)
・「基調講演: Oral Design」(Willi Geller氏)
・「歯牙形態」(脇田太裕氏、D.デンタルセラミスト)
・「審美領域におけるアーチインティグリティーの考察」(上林 健氏、ナチュラル・セラミック)
・「Management of Subgingival Contour in Consideration of The Pink Esthetics」(都築優治氏、Ray Dental Labor)
・「Partial & over-denture with implant」(奥森健史氏、デンタル・プログレッシブ)
・「今日の歯科修復を考える」(土屋 覚氏、DENT CRAFT Studio)
・「Make your presence!!」(中込敏夫氏、JADE)
・「The Solution of Digital Dentistry ~in CAD/CAM Technology between chair side and lab. side」(増田長次郎氏)
・「Reason to be an aesthetic suprastructure」(十河厚志氏、デンタルデジタルオペレーション)
・「新たなる咬合治療の概要と歯科技工士の役割」(重村 宏氏、Japan Craft, JPI)
・「The Esthetic form by Zirconia Ceramics」(枝川智之氏、パシャデンタルラボラトリー)
・「Esthetic approach in clinical dentistry ―審美修復デザインとコミュニケーション―」(高橋 健氏、Dental Laboratory Smile Exchange)
・「様々な選択」(瓜坂達也氏、Lucent Dental Laboratory)
・「A biological approach to restoration design」(久保哲郎氏、oral design OSAKA)
・「A Challenge to Natural Teeth ―今日までの私の挑戦と背景―」(林 直樹氏、Ultimate Styles Dental Laboratory)
・「インターナルステインを用いた個性表現」(湯浅直人氏、大谷歯科クリニック)

  16日(土)の夜にはアークホテル仙台青葉通り(宮城県)において懇親会が行われ、こちらには346名が参加した。懇親会では本チャリティ講演会の恒例となっているチャリティオークションが開催され、計409万円が売上げられた。また、4月14日(木)、15日(金)にはGeller氏が講師を務める実習会も行われた。講演会・実習会・懇親会などを合わせ、当初の事業計画では1,000万円以上の寄付が目的だったが、最終的には2,000万円以上の寄付ができそうだということであった。なお、収益や経費の内訳は、正確な数字をホームページ上で公表する予定とのことである。閉会式で山本氏からこの金額が発表された際は、受講者全員が自然にスタンディングオベーションを行った。本講演会は大成功のうちに幕を閉じたが、その成功を支えたのは、演者や実行委員だけではなく、100名以上のボランティアスタッフであった。準備、受付、進行のサポートなど、講演会の成功を影で支えたスタッフの存在は非常に大きかった。


 また、本講演会が行われた4月16日(土)の1時25分、熊本地震が発生した。本講演会は東日本大震災に対するチャリティであるものの、この熊本地震の被災者にも何かできることはないかという想いから、急遽募金箱が作られ、多くの演者・受講者が募金を行ったところ、寄付金として45万円以上が集まった。

 この場を借りて、熊本地震で亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、被災者の方々に心よりお見舞い申し上げます。