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2016年6月11日

第34回日本顎咬合学会学術大会・総会開催

「新・顎咬合学が創る健口長寿」をテーマに

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 さる6月11日(土)、12日(日)の両日、東京国際フォーラム(東京都)において、(特非)日本顎咬合学会(上濱 正理事長、大会長)による、第34回日本顎咬合学会学術大会・総会が「新・顎咬合学が創る健口長寿」をテーマに開催され、約4,600名が参集した。2日間にわたり、多数の講演のほか、会員発表(口演、ポスター)やテーブルクリニックなどが行われ大盛況であった。

 開会式において上濱理事長の挨拶のあと、昨年末に亡くなった元会長の故・矢澤一浩氏の功績をまとめたスライドが上映され、会場全体で黙とうが捧げられた。その後、前会長の渡辺隆史氏に保母賞が授与された。

 続いて「特別講演(1)生涯の健康を考える」が行われ、Perry R. Klokkevold氏(米国・UCLA歯学部准教授)、垣添忠生氏(元国立がんセンター総長、日本対がん協会会長)、河原英雄氏(大分県開業)、田中秀一氏(読売新聞東京本社調査研究本部主任研究員)、Henry H. Takei氏(米国・UCLA歯学部特別臨床教授)がそれぞれ登壇した。Klokkevold氏は、「An opportunity to make a difference」を掲げ、歯科医師は口腔専門医であり、歯科医療を通して患者の人生を変えることができることを強調。Takei氏は「The Critical Mass」という概念を紹介し、正しく類似した目標・労働倫理をもった人々が良いタイミングで動けば、良い結果が生み出されるとし、「Dental Lifecycle(=歯科の悪習慣)」を断ち切り、患者に予防を教育することの大切さを述べた。

 午後からは、公開フォーラム「食に貢献する」が開催され、山田好秋氏(新潟大歯学部名誉教授)の座長のもと、夏見良宏氏(香川県開業)、和田義明氏(キユーピー株式会社取締役常務執行役員)、田口円裕氏(厚生労働省保健局歯科医療管理官)、柳澤幸江氏(和洋女子大家政学群健康栄養学類教授)がそれぞれ登壇した。開業歯科医師、食品メーカー、行政、栄養学の4つの視点から、「食」と「噛む」をキーワードに「健口長寿」について講演され、今後ますます進む超高齢社会における口腔内健康維持の重要性が示された。

 2日目午前中には、未来ある歯科医療「iPS細胞に迫る歯科再生医療」が行われ、中原 貴氏(日歯大生命歯学部発生・再生医科学講座教授)が登壇。「細胞」を用いた新たな医療である「バイオ再生医療」の代表例はiPS細胞であるが、移植後に腫瘍化やがん化しやすいといわれている。一方歯科分野では、歯根膜や歯髄を用いたバイオ再生医療が始まっている。抜去歯の細胞(抜去歯由来幹細胞)はがん化がきわめて少ないといわれており、iPS細胞より増殖能力が高く、多分化能をもち、培養しても染色体の異常がなく、そのため治療用細胞を短期間に大量に得ることが可能であり、今後たいへん期待されるバイオ再生医療であると解説。また最後には、新たな医療サービスである「歯髄細胞バンク」について紹介した。