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2016年6月12日

(公社)日本口腔インプラント学会学術講演会開催

キャダバー実習の現状を知る機会に

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 さる6月12日(日)、東京グランドホテル(東京都)において、公益社団法人日本口腔インプラント学会学術講演会(古谷野 潔学術委員長、渡邉文彦理事長)が、キャダバー(献体)実習についての現状を知ることを目的に開催された。

 はじめに「日本口腔外科学会・日本顎関節学会あるいは日本口腔科学会のキャダバーワークショップの経験から」と題して、柴田考典氏(北海道医療大教授)が登壇。歯科関連3学会主催で初めて開催されたキャダバーワークショップについて、法的な問題やガイドラインの整備、解剖学講座との体制、費用などさまざまな問題を調整し、2015年の実施に至ったこと、従来のホルマリン固定や新鮮凍結に比べ、関節や血管、臓器等の硬化が少なく、生体に近い状態で実習できるThiel法(ホルマリン・アルコール固定法)で処理された標本で行ったこと、昨年9月の札幌医科大学における第1回ワークショップ顎関節手術手技実習では、全国50名の応募者から12名を選定のうえ、インストラクターのもとに実施し、事後アンケートで全員から「今後もこのような機会をもつべき」との回答が得られたことなどを紹介した。

 続いて、「岡山大学における臨床応用解剖の経験から」と題して窪木拓男氏(岡山大教授)が講演。厚生労働省による「実践的な手術技術向上研修事業」として平成24年度より医学部・歯学部で4回にわたり実施した、遺体を使用した手術手技研修の概要を解説。補綴科では、インプラント治療に関する上顎洞底挙上術、埋入等の実習を実施したこと、参加者のアンケートからは「わかりやすい」「強く勧める」との回答が多数であったことを紹介するとともに、実施にあたっては企業とのかかわりのなかで利益相反なく、透明性のある経理処理が求められることなどを指摘した。

 ご遺体の遺志とご遺族の承諾、法的な条件や実習体制等、実施にあたり、まずは正しい認識をもつことが重要であり、今回はその最初の契機として意義深いものとなった。