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2016年7月3日

京セラCOLLOQUIUM IN 2016開催

「インプラント治療戦略を再考する―患者QOL向上のための適切な治療計画立案・術式・材料選択―」をテーマに

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 さる7月3日(日)、イイノホール&カンファレンスセンター(東京都)において、「京セラ COLLOQUIUM in 2016」(京セラメディカル株式会社主催)が400名以上の参加者を集め盛大に開催された。

 一般講演では、伊藤 理氏(北海道開業)、加倉加恵氏(福歯大)、小澤 仁氏(静岡県開業)が、特別講演では、石田 修氏(山形県開業)、辻村香恵氏(東京都勤務)が登壇し、インプラントの新たな術式や器具や材料など、さらにオゾンナノバブル水の臨床活用報告とメディカルコミュニケーション心理学などについて広範なテーマのもと講演を行った。

 その後、春日井昇平氏(医歯大大学院教授)、澤瀬 隆氏(長崎大大学院教授)が座長のもと症例検討会が行われた。冒頭に水上哲也氏(福岡県開業)が登壇し、自身が経験した症例を供覧し、インプラントの予知性を向上させる要素として「ティッシュマネジメント」「インプラントプレースメント」「インプラント補綴」の3項目を挙げ、続く以下の演者へと話をつないだ。

 「ティッシュマネジメント」の項目では、高橋徹次氏(北海道開業)が、超高齢社会においては患者のライフステージを重視した治療がより重要であるとして、メインテナンス主導型補綴を提唱した。そして清掃性を重視した補綴物の形態とともに、清掃性のよい口腔環境を再建するためのチタンメッシュプレートを用いた硬組織造成について解説した。また、金成雅彦氏(山口県開業)は、審美領域でGBRを行う際、GBRの副作用である角化付着粘膜幅の喪失量を少なくできるPeriosteal Pocket Flap術を紹介し、会場の注目を集めた。

 「インプラントプレースメント」の項目では、島田昌明氏(山口県開業)が、前歯部インプラント治療において審美性を確立するための要件として、三次元的に正確な位置に埋入することを挙げサージカルガイドの利点・欠点について解説した。また、骨幅ごとに許容されるインプラントの唇舌的埋入角度について詳説した。続いて、武知正晃氏(広大大学院准教授)は、不適切な位置に埋入された症例や適切な位置に埋入された症例を提示し、それぞれの手術における問題点や注意点などについて解説した。

 「インプラント補綴」の項目では、夏堀礼二氏(青森県開業)が、メインテナンス時の対応のしやすさからスクリュー固定式の上部構造が増えている現状をふまえたうえで、セメント固定とスクリュー固定のインプラント上部構造の各利点・欠点、設計上の注意点などについて解説した。また、松下恭之氏(九大准教授)は上部構造の緩みや破折の原因となるミスフィットの発生原因について自身の研究結果をもとに解説。精度の高い上部構造製作のポイントとして、スクリューによる連結固定用に開発されたスプリントアバットメントの使用、オープントレーを用いた印象採得、CAD/CAMによる製作を挙げた。

 最後のパネルディスカッションでは、水上氏が提起した課題症例に対する治療計画を演者らがそれぞれ提示し、症例検討会が行われた。春日井氏、澤瀬氏は、「患者ごとに要求は違い、その満足と長期的予後が重要である。本会で学んだことを活かし治療の引き出しを多く持ってほしい」と述べ、本会を締めくくった。