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2016年10月15日

オーラルフィジシャン・チームミーティング2016が盛大に開催

「医と企業の連携」という新たな取り組み

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 さる10月15日(土)、16日(日)の両日、酒田市民会館希望ホール(山形県)において、オーラルフィジシャン・チームミーティング2016(日吉歯科診療所、熊谷 崇理事長)が開催され、全国から歯科医師、歯科衛生士ら800名以上が参加し盛会となった。オーラルフィジシャン(Oral Physician、以下OP)とは、口腔の二大疾患であるう蝕と歯周病に対して検査に基づいて治療計画を立て、疾患の発症と再発を予防することにより患者の口腔内を生涯にわたって守り育てる人を指し、現在その育成が全国から注目されている。

 初日はまず、酒田市長の丸山 至氏が挨拶に立ち、地元酒田における熊谷氏および日吉歯科診療所の功績を称えた。つづいて、Dr. Jan Derks(スウェーデン・イエテボリ大)による1日講演が行われた。「Prevention and treatment of periodontal & peri-implant diseases」と題し、前半は主にスウェーデンの歯科医療制度について、20歳以下の医療費が無料であることや、歯科衛生士がう蝕と歯周病の診断と予防処置を独立して行えるため自分のクリニックをもつことが可能といった特徴を述べた。また、歯科医師および歯科衛生士のための「Swedish National Guideline」という、診断名に対する治療の推奨度が示された治療指針について実例を紹介しながら解説した。午後は、主にインプラント周囲炎とその対応について、『Journal of Dental Research』ほか、いくつかの学術誌に掲載された氏の論文を紐解きながら最新の知見を述べた。

 2日目は、「歯科医療のイノベーション~健康社会を支える医と産業の新しい連携~」のセッションからスタート。まず熊谷氏が登壇し、日本の歯科医療制度の問題点を挙げながら、地域の予防歯科医療に取り組むオーラルフィジシャン歯科医院と健康経営を旗印にする民間企業が連携し、企業従業員の口腔の健康づくりと生活習慣病をコントロールする仕組みづくりを構築する意義について述べた。つぎに、村岡 文氏(日吉歯科診療所、歯科衛生士)がメディカルトリートメントモデル(MTM)や自院の取組みを紹介した。

 つづいて、今注目を集める健康経営、なかでも歯科に対する各社の取組みについて、新田嘉七氏((株)平田牧場代表取締役社長)、中西英一氏((株)ナカニシ代表取締役社長)、荒牧 豊氏(全日空商事(株)執行役員)、和田啓二氏(ライオン(株)事業開発部長)、武久文之氏(富士通(株)未来医療開発センターマネージャー)がそれぞれ講演。ある企業からは、従業員とその子どもたちに歯科の予防メインテナンス費用を助成するなどの実例が紹介されたほか、各社の歯科への積極的な取組みが紹介された。

 午後は、天野隆弘氏(国際医療福祉大大学院長)が「歯科医療におけるプロフェッショナリズム」と題し登壇。歯科医療従事者など専門職種に求められるものについて説いた。最後のセッションは、午前の部で今後民間企業が健康経営を進めるなかで従業員が歯科医院に予防やメインテナンスに通う際、その受け皿となるオーラルフィジシャン歯科医院のあり方について、幡野紘樹氏(東京都勤務)、畑 慎太郎氏(東京都開業)、晝馬康明氏(東京都開業)がそれぞれ解説。なかでも畑氏は、自院のメインテナンスプログラムをどのように自費に移行していったかについて詳細に述べた。

 民間企業の健康経営が進むなかで、歯科側がそれに乗り遅れないことが重要であると考えられる。健康社会を支える医と産業の連携の今後の展開に期待したい。なお、次回の本ミーティングは、きたる2017年10月7日(土)、8日(日)の両日、同会場にて開催予定である。