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2016年11月20日

(株)ヨシダ、第2回CAMBRA講演会を開催

CAMBRA推進者、Kim Kutsch氏を招聘し盛会となる

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 さる11月20日(日)、都市センターホテル(東京都)において、「第2回 CAMBRA(TM)講演会 ~う蝕予防管理方法 世界基準の予防歯科がここにある~」(株式会社ヨシダ主催)が開催された。参加者は歯科医師を中心に歯科衛生士、歯科助手ほか約400名を数え、会場はほぼ満席となった。

 「CAMBRA」とは、CAries Management By Risk Assessment(リスク評価に基づくう蝕管理)のことで、病変の存在を示す「疾患指標」、う蝕の発症に寄与する「リスク因子」、そして発症を妨げる「防御因子」のバランスによって、個々の患者のう蝕リスクを判断し、それにあわせた対応をするというもの。国民皆保険のないアメリカで、どうやってう蝕を回避するかという着眼点から生まれたう蝕予防管理方法である。

 日本では第2回目となるこの講演会では、CAMBRA提唱者のJohn Featherstone氏(カルフォルニア大学サンフランシスコ校歯学部長)とともにはやくからCAMBRAを推進してきたKim Kutsch氏(オレゴン州開業、Oral BioTech社CEO)を招聘。導入して約15年の臨床経験に基づき、CAMBRAのしくみや利点、医院で明日から導入するための心構えについて語られた。

 「車のタイヤがパンクしたとき、パンクを直すのは従来の歯科医療。一方、クギが庭に散らばっていたり、タイヤが擦り減っていたりなど、なぜパンクが起こったのか(=リスク)を考えそれに対処する」のがCAMBRAであり、リスク因子として、遺伝、細菌、食生活、唾液、口腔内のpHをあげ、それぞれがどのようにリスクをもたらすかを解説した。なかでもpHをすべてのう蝕発症に関与する因子と考え、口腔内のpHを上昇させるマウススプレーなどを積極的に活用しているのが、日本の歯科医療と異なる点に感じられた。

 CAMBRA導入を検討する医院に対して、氏は、新しいシステムの導入は何事も容易にはいかないとは認めつつも、日本の歯科医療者の勤勉さ・誠実さを例に「あなたたちならできる」と繰り返し、「明日から始めてみてほしい」と勇気づけて、講演を締めくくった。

 そのほか、氏の医院で長年CAMBRAをもとに患者をサポートしてきた歯科衛生士のJanelle Miller氏や、CAMBRAのリスクに対応した口腔ケア製品を販売するOral BioTech社COOであるRobert Bowers氏も登壇。前者は医院での実際の診療の様子について動画を交えて順を追って説明し、後者はCAMBRAとともに発展してきたOral BioTech社の歴史を振り返った。

 また、ランチョンセミナーでは、神保剛康氏(株式会社KIDS DENTAL PARK代表取締役社長)が登壇し、CAMBRAを医院に導入するために必要なことを述べた。とくに、CAMBRAを導入する意義(患者へのメリットなど)をスタッフ全員で十分に理解し、皆が納得いくまでミーティングを繰り返し、導入を実践するためのチームをつくることが大切だということだった。

 会場では、CAMBRAのリスク判定に必須の口腔細菌量測定器「CariScreen」も展示されていた。綿棒で下顎3-3の歯面をぬぐってトランシーバーほどの大きさの装置に入れると、わずか15秒で0~9,999の数値で細菌レベルを判断してくれるというもので、その手軽さとわかりやすさに、参加者も興味を示していた。

 くわえて、CAMBRAのベースとなる、う蝕リスクの「バランス」理論をまとめた『BALANCE』(著 Kim Kutsch、Robert Bowers)の翻訳書『BALANCE:患者と歯科医師のためのう蝕管理ガイド』(クインテッセンス出版刊)も会場で先行発売され、関心を集めた。