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2018年9月1日

第7回日本包括歯科臨床学会学術大会・総会が開催

「包括歯科臨床の実践 歯周・矯正・補綴――咬合の安定を目指して」をテーマに

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 さる9月1日(土)、2日(日)の両日、連合会館(東京都)において、第7回日本包括歯科臨床学会学術大会・総会(野村英孝大会長、国賀就一郎会長)が「包括歯科臨床の実践 歯周・矯正・補綴――咬合の安定を目指して」をテーマに開催され、歯科医師、歯科技工士、歯科衛生士ら約350名が参集し盛会となった。

 2日間にわたり、特別講演、基調講演、会員発表、若手Dr講演、ポスター発表など多数のプログラムが組まれた。なかでも2日目は、基調講演として本学会顧問である筒井照子氏(福岡県開業)が「いかに科学として捉えるか―歯科臨床・科学の上になりたつアートの時代」と題して登壇。現在の医療は、先人たちが情報の少ない時代から苦しみながら積み上げてきた歴史の上に成り立っており、われわれ医療者はその恩恵にあずかっていることを忘れてはならないと述べた。また、ME機器など医療機器が発展している現在、歯科も医科のような検査の手順を踏んで、医療者・患者がともに納得する医療を行うべきとし、「日野原先生がおっしゃっていた"診断は科学で、表現は技術(アート)で"が歯科界にも定着してほしい」とまとめた。

 DT Sessionの基調講演では、増田長次郎氏((株)カロス代表)が「今日から実践 包括的審美歯科補綴―デジタル化時代を迎えて」と題して講演。つづくDT Sessionの特別講演では、加藤 均氏(東京証券業健康保険組合診療所)が「咬合面形態のあり方を考える―主機能部位をめぐって」と題し講演。氏は長年研究を重ね、食物が主に第一大臼歯の上顎近心舌側咬頭内斜面部と下顎遠心頬側咬頭および遠心咬頭内斜面部の5mm四方の範囲とする咬合接触によって粉砕されること、その部位を「主機能部位」として発表している。その「主機能部位」の重要性について、第一大臼歯の進化学的考察も加えながら、実際の症例を通じて解説した。

 その後、今回のメインテーマである「包括歯科臨床の実践」のセッションが行われ、上田秀朗氏(福岡県開業)の座長のもと、「歯周」の立場から中島稔博氏(福岡県開業)、「矯正」の立場から小川晴也氏(広島県開業)、「補綴」の立場から国賀氏(兵庫県開業)がそれぞれ講演。いずれの演者も、患者の個体差や病態を考慮し、炎症と力のコントロールを行いながら、包括歯科臨床を実践するための各分野におけるポイントについて症例とともに解説した。

 最後に、外来講師として招聘した水上哲也氏(福岡県開業)による特別講演「総合歯科診療のなかでの歯周治療―長期経過観察からの考察を含めて」が行われた。冒頭、過去から現在までの歯科のトレンドの推移を提示しながら、ここ数年でまた歯周治療に注目が集まっていることやその理由について述べた。また、氏が実践する総合歯科治療において必要なさまざまな観点を具体的に述べた後、長期症例も含め多くの症例とともに解説。「歯周治療は総合歯科治療のなかで中心的な役割を果たし、歯周治療で重要なのは自院の総合力である」とまとめた。

 若手からベテランの歯科医師、歯科技工士、歯科衛生士らが一堂に会し、包括歯科臨床を実践するための多くの示唆があった本学術大会は、熱気に包まれたまま閉幕した。なお、「スタディグループ筒井塾設立記念講演会 ~炎症と力のコントロールを追う」が、きたる10月5日(金)~7日(日)にパシフィコ横浜で開催される第8回日本国際歯科大会(クインテッセンス出版主催)において、大会3日目となる10月7日(日)に開催予定。また、本学会の次回学術大会・総会は、きたる2019年8月31日(土)、9月1日(日)の両日、神戸国際会議場にて開催予定となっている。