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2019年5月22日

第68回日本口腔衛生学会・総会開催

「口腔保健がもたらす三方よし―売り手よし、買い手よし、世間よし―」をテーマに

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 さる5月22日(水)から24日(金)の3日間、ピアザ淡海(滋賀県)において、第68回日本口腔衛生学会・総会(花田信弘学会長、山下喜久理事長)が「口腔保健がもたらす三方よし―売り手よし、買い手よし、世間よし―」をテーマに開催された。歯科大学・歯学部がない滋賀県ではこれまで一度も本学会が開催されなかったが、琵琶湖でのクルージングセミナーなど開催地ならではの企画もあり、613名が参集し盛会となった。

 2日目のシンポジウム2「防ぎ守る予防歯科、時代の潮流を読む」では、天野敦雄氏(阪大教授)を座長に、杉山精一氏(日本ヘルスケア歯科学会代表、千葉県開業)、弘中祥司氏(昭和大教授)、久保庭雅恵氏(阪大准教授)らが登壇。

 はじめに、杉山氏からは、患者の変化するリスクを把握するためのカリエスリスクアセスメント「CRASP」が紹介された。続いて、弘中氏からは地域包括ケアを考えるために、病棟ベースで病院の現状や関係職種・患者の心理変化を理解する重要性が語られ、久保庭氏からは歯周状態が健康であるほど唾液中に高濃度に所在する代謝物がバイオフィルム形成を抑制するなどメタボローム解析の成果が報告された。これからの令和の時代の予防について語られた本講演では多くの立ち見も見られ、熱気に包まれた。

 最終日の井下英二氏(滋賀県衛生科学センター)による基調講演「滋賀県がなぜ平均寿命日本一になったか」では、喫煙者率、塩分摂取量、スポーツ人口、飲酒量などさまざまなデータを県別に比較しながら、禁煙対策に注力した結果、男女ともにがんによる死亡率が大幅に下がった滋賀県の成果が示された。さらに、住みやすさと健康寿命の関連性を示したうえで、保険や医療施策ではなく、環境整備から「住んでいるだけで健康になる町」をつくれる可能性を訴えた。

 また、シンポジウム5「フッ化物応用をめぐる誤解を解く(フッ化物応用委員会企画)」では、海外の事例を参考に、フッ化物に対するネガティブキャンペーンに対し、学会など専門機関が迅速に解説を提示する重要性を訴え、近日、ホームページ上で本学会からの見解としてフッ化物に関する声明を発表する予定だと報告された。

 なお、次期学会は、埴岡 隆氏の学会長のもと、きたる2020年4月24日(金)から26日(日)の3日間、福岡国際会議場(福岡県)において開催予定である。