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2019年5月26日

東京歯科大学同窓会 2019 TDCアカデミア 臨床セミナー開講

小児口腔機能・食支援セミナー「口腔機能の発達を紐解く〜食べる・話す・呼吸する〜」をテーマに

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 さる5月26日(日)、東京歯科大学水道橋校舎新館(東京都)において、東京歯科大学同窓会(渋谷國男会長)2019 TDCアカデミア臨床セミナーが開講され、今年度最初のセミナーとして小児口腔機能・食支援セミナー「口腔機能の発達を紐解く〜食べる・話す・呼吸する〜」が開催された。

 本セミナーは2018年4月から保険導入された「口腔機能発達不全を認める小児の口腔機能管理評価」を受けて、定型発達の小児に対して口腔機能管理を実践するために、どのような管理・評価・アプローチをし、口腔機能を健全に発達させるべきか、その基礎を解剖、摂食嚥下管理、歯科矯正、栄養の各視点から学ぶ目的で企画された。

 解剖に関しては「正常な機能がつくる:顎、歯列、咬合」と題して阿部伸一氏(東歯大教授)が、摂食嚥下管理に関しては「口腔機能の発達」と題して大久保真衣氏(東歯大准教授)が、歯科矯正については「小児に対するMFT」と題して立木千恵氏(東歯大講師)が、また栄養については川口美喜子氏(大妻女子大教授)がそれぞれ登壇した。

 TDCアカデミア開講式に続き、まず阿部氏から、骨、筋、そしてそれらを形づくる細胞がそれぞれどのような機能を果たし、意味をもっているのか、成長期における各組織の発達のしかた、口腔機能発達に障害が疑われる所見について、それぞれ口腔機能発達へのアプローチに欠かせない、顎口腔領域を中心とした解剖学的基礎知識が講義された。

 続いて大久保氏がさらに詳しく乳幼児期の口腔機能について講義し、通常ヒトが生まれてからたどっていく食べる機能と構音機能の獲得順序や、機能発達不全が疑われる所見や保護者の訴えなどを挙げ、訓練や食事用具の選び方など、どういったアプローチを具体的に行っていくかが説明された。

 また立木氏からは、日本歯科医学会による「小児の口腔機能発達評価マニュアル」(2018)において、口腔機能不全を改善する方法として多く挙げられている小児を対象としたMFTについて、実習を含めて解説された。またMFTはすべての患者に一律に同じプログラムを行うのではなく、各患者やその発達時期によって行うことが異なるため、MFTのマネジメントが重要であることが申し添えられた。

 最後に登壇した川口氏は、離乳の時期や小児の各発達時期において必要な栄養素や食べられるようになる食物などを説明しながら、歯科でも乳児のころからスクリーニングを行っていくことや、多職種連携のために食形態の学会分類と摂食嚥下機能の対応イメージなど、他の職種における重要な専門的概念を共有する重要性について解説した。

 開業医にとって具体的なアプローチ方法や知識を知ることのできるこの機会に参加した約140名の聴衆らは、長丁場にもかかわらず熱心にすべての講演に聞き入っていた。