Quint Dental Gate 歯科のコミュニケーションサイト

文字サイズ
標準
特大

トピックス


2019年6月22日

第37回日本顎咬合学会学術大会・総会開催

「真・顎咬合学 最新歯科医療最前線―夢ある歯科界の再構築」をテーマに

ログインされますと、関連書籍が表示されます。
会員でない方はこちら
(※関連書籍がないトピックスは表示されません)

 さる6月22日(土)、23日(日)の両日、東京国際フォーラム(東京都)において、第37回日本顎咬合学会学術大会・総会(上田秀朗理事長、大会長)が「真・顎咬合学 最新歯科医療最前線―夢ある歯科界の再構築」をメインテーマに開催され、約4,500名が参集した。

 1日目午前の特別講演では、Bach Le氏(南カリフォルニア大歯学部顎顔面口腔外科臨床准教授)が招聘され、「水平的垂直的顎堤造成術―幻想と真実」と題し講演が行われた。また、午後から開催された公開フォーラム1「ラグビーワールドカップ2019を応援しよう! スポーツ歯学におけるサポート」では、各演者からスポーツと口腔機能の関係性や重要性が示され、歯科がどのようにスポーツに介入できるかを学べる機会となった。

 別会場で行われたテーブルクリニックも盛況で、特に歯科衛生士向けのセッションではいずれも立ち見があいついだ。セッション1では、井上 和氏(歯科衛生士・フリーランス)が歯科医院に来院する患者を4つのタイプに分けて解説したうえで、だれに対しても同じ治療をするのではなく、それぞれのタイプに合わせて対応する必要があると強調した。続けて行われたセッション2では、品田和美氏(歯科衛生士・黒田歯科医院)が「長期症例でみる観察と対応のヒント」と題し講演。患者を診るために必要な検査結果と治療計画についてスライドを用いながら説明した。また、初診時の歯肉や歯槽骨の状態を診て、その患者の回復力を予測したうえで、どのように治療を行っていくかを考える必要があるということを、自身の反省をふまえて紹介した。最後に、たとえ重度歯周病であっても、焦って治療を行うのではなく、一人ひとりの患者に合った指導をする必要があると結んだ。

 2日目の公開フォーラム2では、超高齢社会を鑑みて終日にわたり老年医学および老年歯科医療がテーマとして取り上げられた。午前の部では、高齢者の自立支援を合い言葉に「自立支援歯科学―要介護高齢者の自立支援と咬合の回復」と題して、医師・言語聴覚士・歯科医師・介護福祉士を演者とした講演が種々行われ、歯科医療従事者が真剣に「食べる」を支える学びの場が提供された。午後の部では「認知症/寝たきりを変える〔食べる力〕」をテーマに、「Part1:自宅での介護」、「Part2:食べる喜び」、「Part3:健康長寿のために」の3部構成で、それぞれ講演が行われ、今後の歯科界の課題と指針が浮き彫りにされた。

 2日目はまた、その進化が急速に進む現状をうけ、デジタルデンティストリーに対するセッションがいくつか組まれていた。「CAD/CAM臨床の最前線」のセッションでは、千葉豊和氏(北海道開業)が「デジタルデンティストリーの可能性」と題して登壇。千葉氏は近年、審美修復治療における顔貌の分析やモックアップ、ワックスアップなどをすべてデジタルソフトウェア上で行っていると述べ、患者と歯科医師の間で、治療後の審美的イメージが旧来のアナログ的手法と比較しより具体的に共有できることの優位性を強調した。

 「デジタル機器を活用した高精度の治療、補綴を目指す理論と実践」のセッションでは、瀬戸延泰氏(神奈川県開業)が「セラミック審美修復におけるジルコニアの応用」と題して登壇。瀬戸氏は自身が1990年代から行ってきた各種オールセラミック材料を使用した長期臨床例を提示し、これらのメリットとデメリットを考察した。そのうえで、一般的にも近年の補綴臨床で用いられることの多いフルジルコニアクラウンの臨床例を提示し、昨今の透光性のグラデーションをもつフルジルコニアクラウンの優位性を解説した。

 そのほかも大会テーマにも掲げられた「真・顎咬合学 最新歯科医療最前線―夢ある歯科界の再構築」に基づく昨今話題の器材や治療法に焦点を当てたプログラムが多数散見され、ホール会場とテーブルクリニックともに大盛況の2日間となった。