2019年9月6日掲載

「食べるを支える~地域リハビリテーションの今・未来~」をテーマに

第25回日本摂食嚥下リハビリテーション学会学術大会開催

第25回日本摂食嚥下リハビリテーション学会学術大会開催
 さる9月6日(金)、7日(土)の両日、朱鷺メッセ・新潟コンベンションセンターおよび万代島多目的広場(ともに新潟県)において、第25回日本摂食嚥下リハビリテーション学会学術大会(菊谷 武大会長、植田耕一郎理事長)が「食べるを支える~地域リハビリテーションの今・未来~」をテーマに開催され、6,100名の医療・介護関係者が参集した。

 1日目は、菊谷 武大会長(日歯大教授、同大口腔リハビリテーション多摩クリニック院長)による開会挨拶の後、メインホールでは植田耕一郎理事長(日大歯学部教授)の座長のもと、才藤栄一氏(藤田医科大学長、医学部リハビリテーション医学講座教授)による25周年記念講演「摂食・嚥下リハビリテーションの誕生と進歩」が行われ、本大会の口火が切られた。才藤氏は、本学会の設立にかかわった立場からリハビリテーション医学の歴史や摂食嚥下リハビリテーションの変遷などについて解説。また、近年の摂食嚥下リハビリテーションの急速な発展にともなう対応として、多職種が専門分野を超えて交流する「トランスディシプリナリーチーム」への参加の必要性も強調した。 

 1日目の午後には、菊谷氏による大会長講演「食べるを支える~地域リハビリテーションの今・未来~」、飯島勝矢氏(東大高齢社会総合研究機構教授)による基調講演「国家戦略としての『フレイル予防・オーラルフレイル予防』」が行われ、会場を埋め尽くすほど好評を博していた。

 2日目のパネルディスカッション6「在宅における摂食嚥下障害のある療養者に対する各職種の実践」では、歯科医師、医師、看護師、言語聴覚士、ケアマネジャー、歯科衛生士、管理栄養士の7名によるディスカッションが行われた。歯科医師の小谷泰子氏(大阪府開業)は、はじめに、在宅では家族の負担が増えることから家族への寄り添い・サポートの重要性を説明。摂食嚥下障害にかかわる際には、摂食嚥下の5期モデルのうち先行期へのアプローチがいちばんのポイントであると同時に生活リズムの調整など家族の協力が必要なところであり、医療職による管理の難しさを唱えた。また、歯科衛生士の池田裕子氏(日歯大新潟病院)からは、在宅歯科往診ケアチームの変遷が紹介され、歯科衛生士の摂食嚥下分野における業務拡大について示された。近年は摂食嚥下に対する食事支援や誤嚥性肺炎への対応が求められていることから、多職種会議を行い、病院から在宅・施設へのシームレスな移行が必要だと結んだ。ディスカッションでは、ICTを用いた連携の難しさや、多職種間で互いに求めることの違いなどの悩みが飛び交った。歯科職種間においては、食べられるか・清掃しやすいかなど歯や口腔の機能をみること、義歯にこだわらず安全に食べられるかをみることの重要性が示された。

 また、野田聖子氏(衆議院議員)による市民公開講座「医療的ケア児と摂食嚥下リハビリテーション」では、心臓などに持病のある自身の子どものケア経験談などを披露し、会場は立ち見が出るほど盛況となった。

 その他には教育講演、海外招待講演、シンポジウム、パネルディスカッション、約700題におよぶ会員発表が2日間にわたり行われるなど、会員数17,873名(2019年8月現在)を擁する学会の会場は熱気に包まれていた。

 なお、次回はきたる2020年9月11日(金)から13日(日)の3日間にわたり、名古屋国際会議場(愛知県)において、第26回大会(松尾浩一郎大会長、藤田医科大医学部歯科・口腔外科学講座教授)および第2回世界嚥下サミット(椿原彰夫大会長、川崎医療福祉大学長)のもと、「“食べる”が繋がる/Connect“Eat”」をテーマに開催予定。

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