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2019年10月20日

大阪大学歯学部同窓会、第100回学術講演会を開催

「完全なる口腔機能の予防・維持と回復・再建を目指して」をテーマに

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 さる10月20日(日)、大阪大学コンベンションセンターMOホール(大阪府)において、大阪大学歯学部同窓会(谷口 学会長)主催のもと、第100回学術講演会が「完全なる口腔機能の予防・維持と回復・再建を目指して」と題して開催された。

 オープニングでは谷口会長および今里 聡氏(阪大大学院歯学研究科長・歯学部長)が登壇し、開会の挨拶が行われた。なお、本会は午前の部と午後の部の2部構成で行われ、午前の部は「口腔機能の予防・維持」、午後の部は「口腔機能の回復・再建」のテーマのもと、いずれも大阪大学大学院歯学研究科の教授らによって各講演が行われた。以下、演者の所属教室はすべて大阪大学大学院歯学研究科。

 午前の部は、天野敦雄氏(予防歯科学教室)による「『歯を残す』ための科学」、林 美加子氏(歯科保存学教室)による「最新診療ガイドラインに沿ったう蝕治療―初期エナメル質う蝕から根面う蝕への対応まで」、山城 隆氏(顎顔面口腔矯正学教室)による「骨格的な問題を含む不正咬合に対する矯正歯科治療による口腔機能の回復と再建」、加藤隆史氏(口腔生理学教室)による「眠りと口腔機能の維持・回復」がそれぞれ行われた。なかでも天野氏は、口腔内のバイオフィルムについてユーモアを交えて解説。人が生まれる前から形成される細菌叢を完全に除去することはできないとし、セルフケアとプロケアの両方が重要であると述べた。

 午後の部は、村上伸也氏(口腔治療学教室)による「歯周組織再生剤リグロス®は歯の延命に寄与できるか」、西村理行氏(生化学教室)による「骨バイオロジーから挑む口腔機能の予防・維持・再生」、池邉一典氏(歯科補綴学第二教室)による「口腔機能維持から介護予防へ」、鵜澤成一氏(口腔外科第二教室)による「歯科の特性を生かした顎口腔機能再建」がそれぞれ行われた。なかでも村上氏は、自身が研究・開発に携わったリグロスを用いて行った歯周組織再生療法の症例を多数提示し、実際の臨床におけるその有用性を示した。

 最後のシンポジウムでは、人生100年時代となり「削る・詰める」から「防ぐ・守る」へと変わりつつある歯科医療のなかで、今後どのように患者とかかわっていくのか、各演者からその手法が述べられた。

 シンポジウムでは各演者の研究分野に焦点を当て、これまでの外科手技に再生療法を加えることで、歯科分野のみならず医科分野においてもその発展が見込まれるのではないかとの展望を示した。会場からは多数の質疑応答が飛び交い、盛会のうちに終了した。