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2019年11月17日

第7回3Dアカデミー・情報交換会を開催

口腔内スキャナーによるデジタル印象を研究・追求

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 さる11月17日(日)、スリーエムジャパン本社セミナールーム(東京都)において、第7回3Dアカデミー・情報交換会(千葉豊和会長)が開催され、全国から約100名が参集した。3Dアカデミー(旧・3D研究会)は、口腔内スキャナー(以下、IOS)によるデジタル印象を研究・追求し、印象採得から補綴物装着までの完全なるデジタルワークフローを推進することにより、歯科医師および歯科技工士の労働環境の改善と国民の口腔健康に寄与していくことを目的に2015年に設立されたスタディグループ。2015年および2016年に年2回、以後は年に1回行っている情報交換会を主な活動としている。当日の演題・演者および概要を以下に示す。

1)会長講演(千葉氏)
 冒頭に行われた会長講演ではまず、会長の千葉氏が普段から使用している3Shape社の最新ソフトウェアについて紹介。「TRIOS Patient Monitoring」「TRIOS Treatment Simulator」「TRIOS Smile Design」「TRIOS Specific Motion」の最新バージョンの機能について示した。また、TRIOS 3を用いてガイデッドインプラントサージェリーを行った症例なども提示した。

2)教育講演「口腔内スキャナー臨床応用の現状」(村岡正弘氏、東京都開業)
 本演題では、臨床家の立場からどのように患者をデジタル歯科診療に誘導しているのか、支台歯形成にはどのような条件が求められるのか、また最新のIOS(IOS100〔ジーシー〕、コエックスi500〔Medit、ヨシダ〕)についても詳説された。

3)教育講演「Zirconia Aesthetic Prostheses with Sakura」(崎田竜二氏、鹿児島ミリングセンター)
 本演題では、Sakuraジルコニアディスク(ストローマン・ジャパン)の特性と、臨床における優位性について詳説。歯頚部に相当するレイヤーへの赤みの付与や、曲げ強度と透明度を両立させたことによる適応症の広さなどについて述べた。

4)教育講演「Digital Zirconia Implant Restoration: Truth vs Myth」(山下恒彦氏、デンテックインターナショナル)
 本演題では、インプラント上部構造に用いられるジルコニア材料について、「マテリアル」「製法」「強度と透明度」および「マルチレイヤー」の4点に分けて求められる要素を解説。その上で、山下氏が開発したインプラント上部構造用ジルコニアディスク「Zivino」(アダマンド並木精密宝石株式会社、ヨシダ)の優位性などについて示した。

5)教育講演「CAD/CAM全部床義歯はどこまでいったか、いくのか」(水口俊介氏、医歯大大学院医歯学総合研究科全部床義歯補綴学分野)
 本演題では、かねてからCAD/CAM全部床義歯の研究に取り組んできた水口氏が、みずからの研究を第1世代、第2世代、第3世代に分けて解説。なかでも第3世代では、3Dプリンターによる試適用義歯製作、「カスタムディスク法」(人工歯を所定の位置に排列した上で床用レジンに埋没したディスクを製作し、これを外部からミリングして形態を付与する方法)の発展などが目標であるとした。また、各国で用いられているCAD/CAM全部床義歯システムなども併せて紹介した。

6)特別講演「口腔外科・顎顔面治療への適応拡大」(小川 匠氏、鶴見大歯学部クラウンブリッジ補綴学講座)
 本演題では、小川氏がこれまでに取り組んできた顎運動解析や計算解剖学、インプラント治療支援技術などについて紹介した後、同学の口腔外科と共同で行っている広域の顎骨欠損症例に対する術前シミュレーションとその実例について述べた。シミュレーションに基づいてカスタムメッシュトレーをカスタムメイドし、自家骨や腓骨海綿骨骨髄細片を填入することで、高い成功率が得られているとした。

7)特別講演「口腔内スキャナーの適応拡大:インプラント、矯正」(新村昌弘氏、東京都開業)
 本演題では、新村氏が講演、執筆多数のインプラント治療における術前シミュレーションやガイデッドサージェリーの話題に加え、歯科矯正分野におけるデジタル技術の応用について供覧。アンカー用インプラントの埋入シミュレーションに関する話題や、マウスピース矯正の現状に至るまで、最新情報が多数披露された。

 この他、会場では出展企業担当者によるランチョンセミナーや、恒例となっているIOSハンズオン(展示されたIOSに直接触れ、説明を受けられる)も開催され盛況となっていた。なお、次回の第8回3Dアカデミー・情報交換会は、場所は未定ながら2020年11月15日(日)の開催を予定しているとのこと。