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2020年8月21日

セミナー「歯科医療の未来年表を語ろう!―コロナ禍・人口減少・大廃業時代のいまこそ」が開催

日・米・欧の歯科医師によるオンライン講演を200名が聴講

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 さる8月21日(金)、オンラインミーティングプログラムのZoom上において、セミナー「歯科医療の未来年表を語ろう!―コロナ禍・人口減少・大廃業時代のいまこそ」(SAT主催)が、プログラム登録可能人数である200名の満席にて開催された。司会進行役の田中利典氏(東京都勤務)より本セミナーの趣旨説明が行われた後、3名の演者による講演およびディスカッションが行われた。

 1人目の演者であるMiguel Stanley氏(ポルトガル開業)は「slow dentistry」と題して講演。歯科治療はデジタル機器の発展などによりさまざまな工程においてスピードアップが図られてきたが、患者とのコミュニケーション、院内の消毒、患者に麻酔が効くまでの時間などスピードアップできないものもあるとしたうえで、質の高い歯科医療を提供するためにはスピードダウンし、治療前の準備も含め1人ひとりの患者に“時間”をかけることが重要であるとした。また、“slow dentistry”の柱として、1)患者ごとに診療室を消毒する、2)麻酔が十分に効いてから治療を始める、3)エンドでは必ずラバーダムを行う、4)署名付きの同意書を取って治療のリスクとベネフィットを伝える、の4つを紹介し仲間を募った。

 つづいて、松野英幸氏(山梨県開業)が「What is the Oral physician clinic?」と題して講演。熊谷 崇氏(山形県開業)が提唱する予防歯科の社会的な取組みである“KEEP 28”(全ての歯を守ろう!)や、オーラルフィジシャン歯科医院が取り組むメディカルトリートメントモデルについて解説。自院の取り組みをデータとともに紹介しながら、患者個々のリスクに応じた対応が重要であるとした。

 最後に、畑 慎太郎氏(東京都開業)が「medical treatment modelとslow dentistryの融合」と題し講演。生産年齢人口が減少しつつある日本では健康な高齢者が増えることが重要であり、そのためにも生涯自分の歯で過ごす価値を患者に理解してもらい、メインテナンスに来院してもらうことが大切であると述べ、自院での実際の取り組みを紹介した。
 
 講演後には、宮本貴成氏(米国クレイトン大教授、米国開業)をコーディネーターに、演者を交えて日・米・欧のディスカッションが行われた。宮本氏は今後100年の各国のGDP予測が掲載された論文などを紹介しながら、これからの歯科医療のあり方について言及。ロボティクス、3Dプリント、AI、オートメーションなど技術分野でイノベーションが起き、治療よりもコンセプトや個別対応方式などの価値が上がっていくことで、よりいっそう“slow dentistry”が求められる時代になっていくだろうとまとめた。