2020年9月13日掲載

「歯周再生療法のフロントランナーが辿りついた到達点とは?」をテーマに

九州臨床再生歯科研究会第30回学術講演会が開催

九州臨床再生歯科研究会第30回学術講演会が開催
 さる9月13日(日)、電気ビル本館(福岡県)において、九州臨床再生歯科研究会(平井友成会長)第30回学術講演会が「歯周再生療法のフロントランナーが辿りついた到達点とは?」をテーマに開催され、クインテッセンス出版から書籍『歯周再生療法を成功させるテクニックとストラテジー』を上梓した宮本泰和氏(京都府開業)、尾野 誠氏(京都府勤務)らが講演した。新型コロナウイルス感染症の拡散防止のため、参加人数が制限されるなか、40名超の参加者が会場へ詰めかけた。

 まず宮本氏が「歯周再生療法を成功させるテクニックとストラテジー」と題して講演。歯周再生療法を成功させるためには、テクニックだけでなく、ストラテジーが必要であると述べた。そのストラテジーについて、エムドゲインを用いた歯周再生療法の適応症、歯周再生療法の成功に影響を与える因子などを解説。歯周再生療法では骨移植材の填入量をよくばるとフラップにテンションがかかって失敗してしまうこと、自家骨移植採取時に細菌が混入するとの文献もあり、移植後はボリュームも減ることから、移植材としては他家骨を推奨すること、などを解説した。そして7種類のpapilla preservation techniqueの各々の適応症と詳細を解説。術前にCTで骨欠損形態を把握し、最小限の侵襲ですむpapilla preservation techniqueを選択して、ストラテジーを立てることが重要と述べた。

 つづいて尾野氏は「Cairoの分類を用いた戦略的な根面被覆術」と題して講演。歯肉退縮をそのまま放置すると80%の歯肉退縮がそのまま進行するとの文献をまず示し、根面被覆術で得られる角化歯肉の存在が歯肉退縮の進行や新たな歯肉退縮を減らすと述べた。「では、どういった歯肉退縮の症状ならば、根面被覆術で勝ち目があるのか?」という疑問には、「2011年に発表されたCairoの分類をもとにすると判断できるようになった」とCairoの分類を解説。gingival phenotypeによる診査と臨床的意義として、角化歯肉幅を増大できるLanger techniqueなどのCTGを露出する術式を選択するか、角化歯肉幅の増大量はやや劣るが歯肉を厚く増生できるバイラミナーテクニックなどのCTGを被覆する術式を選択するかを、歯肉の厚みやgingival phenotypeに応じて判断することが重要である、と解説した。

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