Quint Dental Gate 歯科のコミュニケーションサイト

文字サイズ
標準
特大

トピックス


2020年10月4日

『補綴・咬合の迷信と真実』出版記念講演会を開催

須田剛義氏、土屋嘉都彦氏、木戸淳太氏がオンラインで講演

ログインされますと、関連書籍が表示されます。
会員でない方はこちら
(※関連書籍がないトピックスは表示されません)

 さる10月4日(日)、Doctorbook academy(歯科界のオピニオンリーダーの知見を共有するオンラインプラットフォーム)において、ライブセミナー「『補綴・咬合の迷信と真実』出版記念講演会 米国補綴専門医のマインドセット ―妥協しない補綴治療―」が開催された。

 本講演会では『補綴・咬合の迷信と真実―EBDを採り入れた治療のアート&サイエンス―』(クインテッセンス出版)の著者で、いずれも米国補綴専門医の資格を有する須田剛義氏(大阪府勤務)、土屋嘉都彦氏(大分県開業)、木戸淳太氏(福岡県勤務)の3名がオンラインによる講演およびディスカッションが行われた。

 午前の冒頭、イントロダクションで須田氏は、「理想的な補綴治療はサイエンス(科学的根拠)とアート(経験知)によって可能となる」と述べ、「本書ではサイエンスに重点を置いたが、実際の臨床では複雑な症例になるほどアートが必要になってくる。そこで今回は、実際の臨床でサイエンスとアートをどのように用いるかを提示したい」と講演会の趣旨を説明した。

 続いて土屋氏が「長期安定を目指したインプラント補綴の勘所―妥協しないフルマウスインプラント治療―」と題して講演。歯を残すことに固執せず、抜歯およびインプラント治療が有効な症例においては適切に適用すべきであると述べた。そのうえで、全顎的なインプラント補綴の成功のためには、合併症の発生を防ぎ、補綴物の着脱を容易にすることが必要だと説明。治療計画のポイント「本数」「埋入位置」「マテリアル選択と補綴物製作法」について症例を用いて詳説した。

 午後は木戸氏の講演「妥協のないスマイルデザインのための原則」からスタート。木戸氏は、補綴治療で審美的な結果を出すためには、「顔面」「口唇」「歯肉」「歯」の4要素を評価し、それらの総合的な調和を図る必要があると解説。顔面正中線と歯列の正中線の関係や、上顎歯列の切縁と下唇のカーブとの関係、また歯の長径と幅径の比率など、4要素それぞれについて文献を示しながら詳説した。最後に、顔面→口唇→歯肉→歯の順に審美性を評価し、治療計画を立案した症例を供覧した。

 次いで、須田氏の講演「複雑な治療における他科との妥協しない連携治療の実践」では、初めにインターディシプリナリートリートメント(連携治療)における各分野の役割を説明。臨床においては、治療計画で補綴治療・歯周治療・歯内療法のそれぞれに必要なステップを書き出し、歯科技工士・歯科衛生士が介入するタイミングも決定しながら立案することを示したのち、症例を用いて具体的に解説した。まとめでは「連携治療の成功の秘訣は各分野が同じゴールを共有すること」「補綴治療はコーディネーターの役割をもつ」「複雑な治療になるほど、一口腔単位だけでなく顎顔面の要素を採り入れる」「他の分野の意見を聞き、手を取り合う」と述べて講演を締めくくった。

 最後のディスカッションでは、聴講者から寄せられた質問に対し、長時間の講演の疲れも見せず、各演者がそれぞれていねいな回答を提示していた。