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2020年10月11日

大阪大学歯学部同窓会学術講演会をライブ講演とウェビナーで開催

「歯周再生療法を成功させるストラテジーとテクニック」をテーマに

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 さる10月11日(日)、千里ライフサイエンスセンター(大阪府)にて、大阪大学歯学部同窓会学術講演会「歯周再生療法を成功させるストラテジーとテクニック」が、宮本泰和氏(京都府開業)と尾野誠氏(京都府勤務)を迎え開催された。本講演会は、大阪大学歯学部同窓会所有の機材を使用し、学術委員だけで、ライブ講演とウェビナーの併催(各々66名、78名が参加)のハイブリット講演会として開催された。

 まず宮本氏が登壇。歯周病から垂直性骨欠損が発症しても再生療法が適応できる今も、動揺度3、歯根の3分の2の骨吸収という従来の教科書どおりの抜歯基準は正しいのか?と疑問を呈し、深い骨欠損のある歯を保存した症例などを多数示した。また、垂直性骨欠損、根分岐部病変、歯肉退縮の歯周再生療法に、エムドゲイン・骨移植・GTR膜のどの併用が必要かを示したチャートを解説。歯周再生療法の成功率を高める症例の選別に必要な、患者関連因子・患歯関連因子などと、その評価の方法を解説した。また、宮本氏は18歳女性の深い骨欠損の症例を例に挙げ、再生療法・骨移植をしなかったとしても歯周基本治療で歯周ポケットはなくなるかもしれないが、歯肉退縮は避けられず20年も経てば根面う触などの問題が起きてしまうので、再生療法でこそ歯を長期に保存できると述べた。

 続いて、7種のpapilla preservation techniqueのそれぞれの適応を解説。近年発表されている歯間乳頭を剥離しないテクニックは、CBCTで術前に骨欠損の形態が把握できるようになったから可能になった術式で、CTがない場合や、歯石や感染を残すおそれがあるのなら、行うべきでない、と見解を示した。また、下顎大臼歯部などの各部位ごとの歯周病学的特徴、歯周再生手術の注意点などを、多くの長期症例を示しながら解説した。

 つぎに尾野氏が登壇し、1人の患者の部位ごとにリグロスとエムドゲインを使い分けた症例を紹介。リグロスは新しい材料で今後も検証が必要だが、創面の裂開を防ぎ、歯間乳頭の保存に有利な材料の可能性があると述べた。続いて本題の根面被覆術について解説。歯肉退縮の分類の歴史を追い、Cairoの分類で根面被覆の予後を予測できるようになった現在の到達点を示した。つぎにgingival phenotypeにもとづいた根面被覆術式の選択、口蓋からの上皮下結合組織移植片の採取方法を詳説。CTGの適用を考慮する臨床的指標を示してまとめとした。