Quint Dental Gate 歯科のコミュニケーションサイト

文字サイズ
標準
特大

トピックス


2021年1月17日

包括的矯正歯科研究会(IOS)発足記念&2021年第1回例会が開催

代表の綿引淳一氏らが講演し、10か国以上から参加

ログインされますと、関連書籍が表示されます。
会員でない方はこちら
(※関連書籍がないトピックスは表示されません)

 さる1月17日(日)、日本橋ライフサイエンスハブ(東京都)およびオンラインミーティングプログラムのZoomによるハイブリッド形式で、包括的矯正歯科研究会(Interdisciplinary Orthodontic Society:以下、IOS、綿引淳一代表)発足記念&2021年第1回例会(行田長隆大会長)が開催され、10か国以上からの参加があり盛況となった。

 大会長の行田氏(東京都開業)の司会・進行のもと、まず代表の綿引氏(東京都開業)が挨拶に立った。矯正専門医として長年研究・臨床に携わってきた綿引氏は、開業後に自身が一般臨床医としても臨床を始めたなかで、矯正治療が各専門分野と融合することで治療のゴールを良好な結果に導く可能性があると確信。いまだエビデンスの少ない当分野において、一般臨床家と矯正専門医がタッグを組んで日本から新しいエビデンスや情報を発信していくことで、より良い歯科界にしたいとIOS設立の経緯を述べた。つづいて、IOS副代表兼国際プロジェクト担当の田治米元信氏(ニュージーランド在住)による挨拶、Dr. Zac Morse(オークランド大教授)による祝辞などが行われた。

 第1回例会となった今回は、「アライナー矯正」「矯正治療・歯周治療の融合」をテーマとした講演が行われた。

 教育講演1では、南保友樹氏(神奈川県開業)、綿引氏による「アライナー矯正の2つの顔を検証する:我々は、アライナー矯正とどう向き合うべきか?」が行われた。近年、マウスピース型矯正装置の認知度が上がるなか、治療内容に導入しやすい反面、トラブルになるケースも少なくない。本講演では、マウスピース矯正に関して近年発表されている論文をベースに、その利点・欠点、治療結果の評価、従来のワイヤー矯正との比較などをエビデンスに基づき客観的な視点から整理された。

 教育講演2では、笹生宗賢氏(東京都開業)、綿引氏による「歯周矯正の2つの顔を検証する:矯正治療と歯周治療の融合は歯科治療に新たな価値を見出すことができるか?」が行われた。矯正治療の合併症とされる歯肉退縮に対し、近年発表された論文を軸にエビデンスを整理し、歯周治療と矯正治療の2つの側面から考察が行われた。

 つづいて会員発表1では坂本耕一氏(神奈川県開業)による「デュアルインサイザルエッジポジションを用いた上顎前突抜歯症例の治療計画」、会員発表2では上野博司氏(東京都開業)による「Comprehensive Orthodontic and Prosthodontic Rehabilitation-Tip-Edge テクニックを取り入れた臨床-」がそれぞれ行われ、各講演の後には活発な質疑応答が行われた。

 矯正治療へのニーズがますます高まるなか、今後歯科界でIOSがどのような存在感を示していくか期待したい。