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2021年4月17日

第18回日本口腔ケア学会総会・学術大会、第1回国際口腔ケア学会総会・学術大会 合同会議開催

「医療のメインストリームを担う口腔ケア」をメインテーマに

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 さる4月17日(土)、18日(日)の両日、第18回日本口腔ケア学会総会・学術大会(星 和人大会長、夏目長門理事長)が、伊藤国際学術研究センター(東京都)とオンライン配信のハイブリッド方式にて開催された。「医療のメインストリームを担う口腔ケア」をメインテーマに据えた本大会は、このたび新たに発足した国際口腔ケア学会の第1回総会・学術大会(星 和人理事長)との合同で行われた。

 本年で学会設立30周年を迎え、大会1日目にはまずその記念式典が行われた。来賓として佐藤 保氏(日本歯科医師会副会長)、茂木美保氏(日本歯科衛生士会副会長)らによる祝辞が述べられた後、この30年のあゆみを振り返るムービーが披露されたり、特別貢献賞受賞記念講演が行われたりするなど盛会となった。

 続いて、ワークショップ1「口腔ケアでの医療事故を防ぐ」では、医療事故の歴史と現状や、防止対策について各現場で取り組む演者からそれぞれ報告がなされた。なかでも、酒井克彦氏(東歯大オーラルメディシン・病院歯科学講座講師)は「口腔ケアは気道処置の1つであり、事故による誤嚥や窒息は生命に直結するが、そのことが社会的に知られていない」と提言。口腔ケアは周術期等口腔機能管理などにおいて重要な役割を果たす一方で、リスクをともなう行為であることが再認識され、注目を集めた。

 大会2日目は、はじめに国際口腔ケア学会記念式典が行われた。20か国あまりの大使が招聘され、国内で発展した口腔ケアを世界に普及させ、人類の医療・福祉に貢献することを謳った東京宣言が行われた。午後の国際セッション「世界に広がる口腔ケア」においても、日本の口腔ケアが世界をリードしていくものだということが示された。

 特別企画では、座長である星氏と同じ仙台市出身のお笑いコンビ、サンドウィッチマン(グレープカンパニー所属)をゲストに迎え、芸人として、また、震災や病院訪問を通じて感じる口腔ケアの疑問についてざっくばらんに語られた。口腔ケアが全身の健康に通じることを実感した体験談をはじめ、星氏とのユーモアに溢れる掛け合いに、会場は終始笑いに包まれた。

 シンポジウム3「食べるためのリハビリテーション―多職種の視点と連携―」では、医師、歯科医師、ST、歯科衛生士が登壇し、それぞれの視点が語られた。座長で登壇者の藤谷順子氏(国立研究開発法人国立国際医療研究センター病院・リハビリテーション科医長)からは職種にとらわれた「だれが何をするか」という考え方ではなく、専門性の尊重はしつつも仕事内容は相互乗り入れする「何をだれがするか」という“トランスディシプリナリー”の考え方にシフトしていく必要性が語られた。

 最後のディスカッションでは、多連携におけるマニュアル化の困難さが議題となり、病院や施設など組織内での特徴を把握した「グループ化」からはじめられるとよいのではないかという意見が交わされた。

 なお、次回の合同会議はきたる2022年4月22日(金)から24日(日)の3日間、大阪医科大学(大阪府)において、植野高章大会長(大阪医科大感覚器機能形態医学講座口腔外科学教室教授)のもと「口腔ケア! 次の扉を開けよう!」をテーマに開催予定。