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2021年7月4日

第9回日本包括歯科臨床学会学術大会、Webにて開催

「包括歯科臨床~現在・未来~」をテーマに

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 さる7月4日(日)、第9回日本包括歯科臨床学会web学術大会(大八木孝昌大会長、国賀就一郎会長)が開催された。本学術大会は2020年7月に北海道で開催するために準備されてきたが、新型コロナウイルス感染症の影響でこの日に順延、さらにWebでの開催となった。参加者は合計613名であった。

 国賀会長、大八木大会長の挨拶に続き、講師として樋口琢善氏(福岡県開業)による「重度歯周疾患罹患者に対する包括的対応~永続性のある口腔内を維持するためには~」、藤田 亨氏(大阪府開業)による「咬合治療におけるリスクマネージメント~個体差治療の有用性~」、筒井武男氏(福岡県勤務)による「成長期の矯正的対応 治療の難易度の見分け方」、西林 滋氏(群馬県開業)による「22年間で学んだ咬合療法と未来予想」、川端秀治氏(北海道開業)による「ここまでの包括歯科臨床 ここからの包括歯科臨床」、増田長次郎氏(株式会社カロス代表)による「デジタルデンティストリー できる事できない事」の講演が行われ、それぞれの講演後に会員4名ほどと講師、筒井照子氏(福岡県開業、同学会顧問)とが内容や症例についてディスカッションする時間が設けられた。

 最後に筒井氏と池邉春香氏、松本早津紀氏(いずれも歯科衛生士、筒井歯科勤務)の3人が「力のコーディネーターが育ってほしい」と題し、歯科医師と歯科衛生士が協働して取り組む口腔の力のコントロールについて講演した。本講演では、かつて歯科医院へ怒涛のように患者が押し寄せる原因となったう蝕や歯周病の治療方法は今や確立・定着しつつあるが、そのすべての治療を台なしにしかねない力のコントロールがまだ歯科界で広く定着していないこと、炎症のコントロールを当然歯科衛生士が行っているように、現代における口腔の健康の大きな障害となり得る「力」のコントロールを歯科衛生士と歯科医師がタッグを組んで行っていくことの重要性が、実際の症例とともに解説された。その中で筒井氏は、1990年代に力のコントロールを含めた包括歯科治療を行い、昨年、初診から27年後に来院した患者(小社刊、筒井昌秀、筒井照子著『包括歯科臨床』にも症例として掲載されている)の口腔内が現在も問題なく保たれていることに触れ、やはり力や態癖について患者に指導すべきであり、この指導があってこそ患者の口腔の健康が保たれるという事実に、さらなる学びを得られたと感慨深く講じた。

 本大会はきたる8月5日(木)まで見返り配信(オンデマンド配信)が行われており、こちらより視聴可能である。