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2021年8月19日

日本摂食嚥下リハビリテーション学会、第26・27回合同学術大会を開催

「“食べる”が繋がる」をテーマに

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 さる8月19日(木)から21日(土)の3日間、第26・27回合同学術大会日本摂食嚥下リハビリテーション学会(松尾浩一郎第26回大会長、栢下 淳第27回大会長、鎌倉やよい理事長)が、「“食べる”が繋がる」をテーマに名古屋国際会議場(愛知県)およびWeb配信のハイブリッド開催にて開催された。本大会は、第2 回世界嚥下サミットとの併催であり、海外演者も含めた多数の著名な演者による講演が行われた。

 特別講演1「サルコペニア・フレイルと摂食嚥下」では、松尾浩一郎氏(医歯大)の座長のもと、荒井秀典氏(国立研究開発法人国立長寿医療研究センター)が講演を行った。荒井氏は、75歳以上高齢者の増加にともないサルコペニアへの対応が必要としたうえで、サルコペニアについての診断・治療や嚥下障害との関連、そしてフレイル・オーラルフレイルについての解説を行った。筋肉量の低下、筋力の低下、身体能力の低下によって診断されるサルコペニアは、咀嚼力、嚥下機能と関連すると説明。また、健常な状態と要介護状態(自律性喪失)の中間であるフレイルについて、適切な介入によってフレイルの状態から健常状態に戻すことができる可逆性もその特徴とし、そのための介入として、運動介入、栄養介入、社会的生きがい、ポリファーマシー対策、オーラルケアを示した。そのなかでも、オーラルフレイルは定期的な歯科検診、栄養摂取、運動が重要だとまとめた。

 JSDRシンポジウム「つながる:在宅医療の広がり」では、戸原 玄氏(医歯大)の座長のもと、大高美和氏(特定非営利活動法人ゆめのめ)、坂井謙介氏(愛知県開業)、横山雄士氏(東京都開業)、十時久子氏(フリーランス歯科衛生士)、加藤英二氏(ファニーズ・クックスポート)による講演がそれぞれ行われた。

 十時氏は、「つなごう!遷延性意識障害患者の可能性―患者の気持ちをつなぐ書字による感情表出―」の演題にて講演。遷延性意識障害患者に対して文字を書いていただくことで、患者と歯科衛生士間でより積極的なコミュニケーションが取れるようになった症例を多数提示した。その利点として、食支援においてはより細かな状況がわかるようになり、患者の要望などに対してよりピンポイントな対応が可能となったと述べた。座長の戸原氏は、「症例内において患者と歯科衛生士が相互に主体としてかかわっていく動的な関係性が自然に築かれていることがすばらしい」と絶賛した。

 なお本大会は、2021年9月14日(火)までオンデマンド配信で公開されている。