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2021年11月27日

大阪大学歯学部、第18回市民フォーラムをWeb開催

「女性のためのオーラルヘルス」をテーマに

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 さる11月27日(土)、第18回市民フォーラム(主催:大阪大学大学院歯学研究科、大阪大学歯学部附属病院/共催:大阪大学歯学部同窓会、大阪大学歯学会/後援:大阪市、吹田市、豊中市、茨木市、箕面市、池田市、東大阪市、八尾市、吹田市教育委員会)が、「女性のためのオーラルヘルス」をテーマにWeb開催された。

 開会挨拶では今里 聡氏(阪大歯学研究科長)より、女性ならではのお口の健康リスクについて学ぶとともに、家族のキーパーソンとして歯科の重要性を広めていただきたいとの本フォーラムの開催主旨が語られた。

 十河基文氏(阪大教授)の司会のもと6名の講演者が登壇。はじめに久保庭雅恵氏(阪大准教授)が「知って納得、女性特有のお口のニオイ~その原因と対策~」と題して講演。病的口臭と生理的口臭の違いや口臭の診断法、月経周期や女性ホルモンが与える口臭への影響が紹介された。また、口臭セルフチェック、口臭を改善するためのセルフケアや唾液腺マッサージ、歯周治療などの具体的な対策が示された。

 波多賢二氏(阪大准教授)は「口の中の疾患と女性ホルモン」と題し、女性ホルモンの重要な役割とともに、女性ホルモンによる口腔の健康への影響、特に女性ホルモンが多く分泌される妊娠期における歯周病、また閉経期以降の女性ホルモン減少にともなう歯槽骨の減少、唾液の減少など、ライフステージ別の注意点が示された。

 つぎに大川玲奈氏(阪大講師)からは、「母と子の歯の健康のはなし」と題し、子どものむし歯予防について、その具体的な対策が紹介された。対症療法の繰り返しから、原因除去をすることの大切さ、そのためのおやつの与え方や、むし歯になりやすい箇所を押えた効率の良い歯みがき、フッ化物の使用法、歯ブラシの選び方まで、実践的な対策が示された。

 岡 綾香氏(阪大助教)からは「生涯、健康で美しい口元でいるために」と題し、機能の回復だけでなく、天然歯の保存やQOLの向上を目的とする成人矯正の意義が語られた。実際の症例を示しながらアンカースクリューのメリット、補綴前矯正やマウスピース矯正など、機能回復にとどまらない成人矯正治療の実際が紹介された。

 森田和子氏(阪大歯学部同窓会)からは「素敵な笑顔は健口から」と題し、家族のキーパーソンとしてともすると自分のことは後回しになりがちな女性たちに向け、歯周炎を防ぐ歯周管理の重要性と、歯周定期検診の提案がされた。口腔の健康を守り健康寿命を延ばすことは、自分のみならず社会のためにもなるSDGsな取り組みであることが語られた。

 休憩をはさみ、総合討論の時間が設けられ、フォーラム中に視聴者から寄せられた質問に各講演者が回答。舌のセルフケアから部分矯正について、フレイルの予防法など多くの質問が寄せられた。

 閉会の挨拶では林 美加子氏(阪大歯学部附属病院長)が登壇、人種や性別を超えた共生のなかでの性差医療の重要性が語られ、盛会のうちに閉会となった。