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2022年2月6日

関東歯内療法学会、第20回学術大会を開催

「改めて見直す歯根膜の力~移植の基礎から臨床まで~」をテーマに

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 さる2月6日(日)、関東歯内療法学会第20回学術大会(澤田則宏会長)が「改めて見直す歯根膜の力~移植の基礎から臨床まで~」をテーマに掲げ、Web配信で開催された。

 まず、第19回学術大会で鈴木賢索賞を受賞した石崎秀隆氏(長崎大)が受賞講演として「穿孔の予防や診断、および治療を成功に導くKey Point」と題して講演。石崎氏は、穿孔させないためには、歯根の湾曲の方向、根管壁の厚さなどの解剖学的形態を把握しておくこと、術前のX線写真の読影をしっかり行うことが重要だと述べた。さらに、穿孔を治癒に導くポイントは、即座に封鎖すること、陳旧性の場合は穿孔部の止血および肉芽の除去と殺菌を行うことだと、症例を提示しながら解説した。

 次に、下野正基氏(東歯大名誉教授)が「歯根膜の特性と機能」と題して講演。下野氏は、歯の移植および再植を成功させるためには、術者が歯根膜の特性と機能を理解することが重要であると述べ、それらの解説を行った。まとめとして、「移植および再植時に乾燥が許されるのは15分まで、食品用ラップフィルムで包むと歯根膜がダメージを受けない、牛乳に浸漬すると長時間にわたり歯根膜が健常な状態を保てる、次亜塩素酸ナトリウムに浸漬するとアンキローシスを起こす」と説明し、以上を理解することで、移植および再植を成功させることに近づくとした。

 最後に、下地 勲氏(東京都開業)が「歯根膜の機能を活用した外科的歯内療法」と題して講演。下地氏は、昨今のインプラント治療の普及により、「歯を保存する」ための努力が以前に比べて薄れ、安易に抜歯を選択する歯科医師が増えてきていることに警鐘を鳴らした。下地氏は、できるかぎり天然歯を保存するために、下野氏と同様に歯根膜の機能の重要性を解説し、歯根膜の機能を活用した症例を複数示し、それぞれの治療の実際を語った。

 講演後は甲田和行氏(東京都開業)の座長のもと、下野氏、下地氏による質疑応答の場が設けられ、受講者から多数の質問が投げかけられた。