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2022年6月9日

第32回日本顎変形症学会総会・学術大会が開催

「クオリティ・オブ・ライフの向上を目指して」をテーマに

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 さる6月9日(木)、10日(金)の両日、第32回日本顎変形症学会総会・学術大会(小林正治大会長、高野正行理事長)が「クオリティ・オブ・ライフの向上を目指して」をテーマに、朱鷺メッセ(新潟県)およびWeb配信のハイブリッド形式で開催され、現地会場には382名、Web配信には970名が参加した。

 シンポジウム4「骨格性Ⅱ級症例に対する治療戦略」では、治療後のリラプス(後戻り)が多く、治療結果が安定しにくい骨格性Ⅱ級症例の治療戦略について4人の演者が述べた。


 まず西井 康氏(東歯大歯科矯正学講座)が「日本人Ⅱ級外科症例の特徴と術後安定性のための方略」と題して講演。ハイアングルの患者に後戻りが多いこと、後戻りには術前の下顎頭形態の影響が高いこと、内側翼突筋の体積の変化量が後戻りに影響していること、などを述べた。

 続いてHoon-Joo Yang氏(Seoul National University、韓国)が「Surgcal treatment strategies for skeletal class 2 malocclusion cases」と題して講演。術後の下顎頭の吸収のリスクファクターとして、近位骨片の位置づけ、下顎頭のトルクがあげられると述べた。

 次に吉岡徳枝氏(岡山大病院口腔外科)が「骨格性Ⅱ級症例における顎矯正手術の合併症に対するリスクヘッジ」と題して講演。骨格性Ⅱ級症例は、各症候群に付随した変形であることも多く、歯軸の唇側傾斜や叢生をともない、骨格形態がハイアングルで下顎下縁平面角が急峻なことから、治療が難しいうえに、その病態が多様であるため、それぞれに応じて対処することがリスクヘッジにつながると述べた。

 最後に土生 学氏(九歯大生体機能学講座)が「骨格性Ⅱ級症例に対する上顎骨単独骨切り術の適応と術式の要点」と題して講演。下顎の5mm以上の大きな移動と、反時計回りの回転をともなう骨格性Ⅱ級症例では、術後の後戻りのリスクが高いため、馬蹄形骨切り術を併用したLe Fort Ⅰ型骨切り術による後上方移動と、少ない下顎の前方移動での対応で、歯根の損傷や鼻腔への影響を回避できると述べた。