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2023年3月26日掲載

板垣秀星氏、鹿野 宏氏らフォトグラファーが登壇

2022年度 日本歯科色彩学会「電塾」見学会「スマートフォンを中心とした最新デジタル写真事情」を開催

2022年度 日本歯科色彩学会「電塾」見学会「スマートフォンを中心とした最新デジタル写真事情」を開催
 さる3月26日(日)、浅草JRAパークホール(東京都)において、2022年度 日本歯科色彩学会「電塾」見学会「スマートフォンを中心とした最新デジタル写真事情」(中澤 章見学会委員長、新海航一会長)が開催された。

 本見学会は、例年行われている日本歯科色彩学会の学術大会とは別の機会として、色彩にかかわる各分野の企業や団体の取り組みを「見学」することで、会員の見聞を広めるためのもの。コロナ禍の影響から久々の現地開催となった今回は、1997年に発足したプロフェッショナルデジタルフォトを学ぶための団体「電塾」から2名のフォトグラファーを講師に招き、標題のスマートフォンによる写真にまつわる技術の進化や、カラーマッチングに欠かせない知識についての講演およびデモンストレーションが行われた。以下に、各演題の概要を示す。

1)「スマートフォンカメラならではの画像処理」板垣秀星氏(フォトグラファー)
 本演題では、スマートフォンのカメラの画質設計に対する造詣の深い板垣氏が、最近のスマートフォンカメラではどのような画像処理が行われているのかについて解説。レンズや撮像素子における制約が多いスマートフォンのカメラでレンズ交換式カメラの画質に近づけるための画像処理技術として、「HDR(High Dynamic Range:1枚の写真のなかに幅広い明るさの被写体を写し込む技術)」「NR(Noise Reduction:ノイズの低減)」「超解像技術」「ズーム・ボケ表現」「AI(Artificial Intelligence:人工知能)による進化」について述べ、加えて「スマートフォンならではの色再現」「スマートフォンのディスプレイ」「スマートフォンで映える写真を撮る」といった使用上の注意点やコツについても示した。講演中、最近のスマートフォンでは、1回のシャッターで8~16枚程度の写真が自動的に撮影されており、それを基に最適な画質の1枚が作り出されていることが紹介されると、会場からは驚きの声があがった。また、自然なボケの再現や被写体へのフォーカスの追従、さらに超解像技術などにAIが貢献していることなども示され、近年注目されるAIの応用の幅についても示された。また、特に歯科にかかわる点としてはスマートフォンのディスプレイの色再現についても言及し、一般向けに高彩度・記憶色に偏った表示がされるため、忠実な色再現を望む場合には「クリエイターモード(ソニー社の一部機種に搭載)」といったモードを活用することも示された。

2)「光と色と目のお話」鹿野 宏氏(フォトグラファー、株式会社Lab代表、電塾塾長)
 本演題では、「電塾」の塾長を務める鹿野氏が登壇。日本国内におけるデジタル画像処理の黎明期から携わってきた経験を基に、「平均演色評価数(Ra)はもう古い」「人間の目の能力を認識しよう」「肌色のひみつ」「iPhoneを活用した見た通りのポートレートと口腔内写真の撮影方法」「正しい色を確認するための環境設定」「記録した色を正しく再現するプリント方法」の6点について解説。写真・印刷技術の進歩によって移り変わってきた演色性の評価基準にはじまり、iPhoneをはじめとするスマートフォンで客観的な色で撮影するための考え方とアプリケーション、そして「プリンタメーカー固有の色づくり」によらない、「現実に見える色彩にできるだけ近いプリントを得るための設定」などがわかりやすく示された。さらに、それぞれのスマートフォンに固有のアプリケーションではなく、設定をユーザーが自由に変更できるアプリケーション(Adobe Photoshop Lightroomモバイル版、Adobe)と、演色性の高いLEDライトを用いて顎歯模型とシェードタブを撮影するデモンストレーションも行い、盛況となった。

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