2023年7月8日掲載

「今すぐできる100年healthの健康寿命対策 ~歯周病から考える全身の健康~」をテーマに

第28回口腔保健シンポジウム開催

第28回口腔保健シンポジウム開催
 さる7月8日(土)、第28回口腔保健シンポジウム(日本歯科医師会主催、サンスター株式会社協賛)が、室町三井ホール&カンファレンス(東京都)およびWeb配信のハイブリッド形式にて開催された。本シンポジウムは、1994年に開催された世界口腔保健学術大会における「口腔保健に関する東京宣言」を契機として毎年開催されているものであり、今年度は「今すぐできる100年healthの健康寿命対策 ~歯周病から考える全身の健康~」のテーマで開催された。

 冒頭、高橋英登氏(日本歯科医師会会長)より開会挨拶が行われ、「以前は『歯科は命に関与しない』と考えられていたことから歯科は今ほど評価されていなかった。しかし、近年では口腔の健康が全身の健康に寄与することが認知されてきた」と述べ、国民の歯科に対する意識の変化について言及した。そして、日本で比較的安価に医療を受けられているのは国民皆保険制度による恩恵であることを強調し、本制度を守るためにも口腔の健康をつうじて医療費の適正化に貢献することの重要性をアピールした。

 その後会場では、3部構成にて小山茂幸氏(山口県歯科医師会会長)、村上伸也氏(阪大大学院歯学研究科教授)、鳥谷 敬氏(元プロ野球選手、プロ野球解説者)、石澤典夫氏(アナウンサー)の4名を中心にトークが展開された。

 パネルディスカッション・第1部「100年healthを口から考える」では、小山氏が鹿とライオンの頭蓋骨を供覧し、草食動物と肉食動物との歯の構造の違いについて解説。すり潰すことに適した構造と、かみ切ることに適した歯の構造の違いにふれながら動物は生きていくうえで歯が重要であることを説明し、食べることの大切さを述べた。また鳥谷氏は自身の現役時代を振り返り、噛み合わせが運動のパフォーマンスに大きな影響を与える要因となることに言及した。

 次の基調講演「歯周病が全身の健康に及ぼす影響とは?」では、村上氏が講演。歯周病はデンタルプラークが主な要因であることについてふれ、マウスを用いた研究データを示すとともに喫煙や糖尿病などをはじめとするリスク因子が歯周病の発症や進行を促進させることを詳説した。また、平均寿命の年次推移を供覧しながら、寿命が延びたことにより健康な歯を保つ大切さを説いた。

 続いてのパネルディスカッション・第2部「健康寿命延伸のための歯周病対策」では、村上氏よりブラッシングの重要性と歯間ブラシの活用について解説がなされるとともに、定期的な歯科医院への来院の大切さが促された。また、小山氏より就寝時に口腔内細菌が増えることから、就寝前のブラッシングが特に重要であることが強調された。

 最後のまとめでは、鳥谷氏が「自分に適した口腔ケアを続けられる方法を探し、定期健診に通う習慣を日常のなかにつくっていきたい」と述べた。また石澤氏は、「健康長寿の実践は難しいことではなく、毎日の小さな口腔ケアの継続であることを感じました」とコメントし、成功裏に終了した。

関連する特集