2023年7月8日掲載

「顎関節サイコウ(再考、再興、最高!!);みんな集まれ!」をテーマに

第36回一般社団法人日本顎関節学会総会・学術大会開催

第36回一般社団法人日本顎関節学会総会・学術大会開催
 さる7月8日(土)、9日(日)の両日、東京ビックサイトTFTホール(東京都)において、第36回一般社団法人日本顎関節学会総会・学術大会(依田哲也大会長・理事長)が「顎関節サイコウ(再考、再興、最高!!);みんな集まれ!」をテーマに掲げ開催された。会場には、両日合わせて約700名の参加者が集い、盛況であった。

 1日目のシンポジウム1「顎関節円板の復位・整位を再考する」では、矢谷博文氏(大阪府勤務)、塚原宏泰氏(東京都開業)の座長のもと、谷本幸太郎氏(広大教授)、高岡亮太氏(阪大)、塚原氏、羽毛田匡氏(長野県開業)、儀武啓幸氏(医歯大)が登壇。「矯正」「補綴」「外科」など、それぞれの立場から顎関節症治療における顎関節円板の復位・整位の必要性の有無や適応となる病態、またその治療法などについて述べた。

 続いての特別講演では、依田氏の座長のもと、遠藤秀紀氏(東大総合研究博物館)が登壇し、「咀嚼機構の進化学的多様性」と題して講演を行った。動物の遺体を収集し、遺体から新たな真実を導き出し、そして遺体を標本として未来へ引き継ぐ「遺体科学」を提唱する遠藤氏の講演は、脊椎動物史における顎関節の進化を紐解くもので、皆、興味深く聞き入っていた。

 依田氏、小見山道氏(日大教授)が座長を務めたイブニングシンポジウム「DC/TMDと学会病態診断を再考する―ここがおかしいDC/TMD!! 日本顎関節学会はこう考える―」では、矢谷氏、窪木拓男氏(岡山大教授)、小林 馨氏(鶴見大名誉教授)、島田 淳氏(東京都開業)がシンポジストとして登壇し、重複診断や本邦の現状と合致しない質問票の項目、画像検査関連の事項など、依田氏が提示したDC/TMDの課題について討論した。本シンポジウムでは、「シンポジウム」の語源である古代ギリシャ語「sympinein(=一緒に酒を飲む)」に倣い、参加者にアルコールを含めた飲み物がふるまわれ、くだけた雰囲気ながら活発な討論が繰り広げられた。

 その他にも、シンポジウム2「習慣性顎関節脱臼を再考する~疾患概念と自己血注射療法~」、若手部会企画シンポジウム「みんなで探そう研究の種!」、ランチョンセミナー、ハンズオンセミナーが行われた。また、2日目には、日本歯科衛生士会共催・臨床医の会合同シンポジウム「歯科衛生士と行う顎関節症病態別治療」なども行われ、多彩なプログラムが組まれた2日間となった。

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