2023年10月18日掲載

「MFTの本質からのさらなる歩み」をテーマに

第21回日本口腔筋機能療法(MFT)学会学術大会を開催

第21回日本口腔筋機能療法(MFT)学会学術大会を開催
 さる10月18日(水)、19日(木)の両日、有楽町朝日ホール(東京都)において、第21回日本口腔筋機能療法学会学術大会(石野善男大会長、坂本輝雄会長)が「MFTの本質からのさらなる歩み」をテーマに開催され、歯科医師、歯科衛生士ら564名が参集し盛会となった。

 本会2日目は特別講演「口腔周囲筋の形態と機能~特にMFTに関わる筋群について~」では田松裕一氏(鹿児島大大学院解剖法歯学分野)が口腔筋機能療法の基礎となる解剖の写真とともに多層にわたる構造を解説した。

 シンポジウム「関連領域と MFT」が行われた。清水清恵氏(東京都開業)が「『小児の口腔機能管理』へのMFTの応用」と題して、保険収載で注目される小児へのMFT例を報告した。成長段階では口腔のさまざまな問題とともに発達するため適宜治療の見直しが必要で、自身の経験から形態と機能の両輪で考えるトータルプロセスが有効であると強調した。

 次に内科医である鈴木真由美氏(医師、東京女子医大睡眠科)が、「睡眠呼吸障害領域でのMFTの実践」と題し、高齢者の睡眠呼吸障害へのMFTの効果について講演した。MFTの何が有効か現状では不明点も多くエビデンスも不十分で、今後も症例の蓄積が必要であるが、自身の経験からMFTで舌圧や口呼吸が改善し、摂食や呼吸が適正になると全身状態にも改善をもたらす可能性を述べた。

 続いて武井良子氏(昭和大歯科病院リハビリテーション室)が、「構音障害とMFT」と題して、言語聴覚士として「構音訓練」を紹介した。文字通り明瞭に話すことを目的に聴覚や知的発達も関連し、MFTと並行すると効果的な場合もあるが、相乗効果とならない場合もあると語った。

 最後に大久保真衣氏(東歯大摂食嚥下リハビリテーション研究室)が、「摂食嚥下リハビリテーションの実際」と題して、障害児の場合に正常機能の獲得は難しいため、生活背景を理解した治療が必要とし、発達期にできるだけ筋力を向上させるとリハビリテーションも有効になると述べた。

 締めくくりとして総括を常盤 肇氏(東京都開業)が行い、総合討論として活発な質疑応答がなされた。なお、次回の第22回学術大会は、きたる2024年10月16日(水)と17日(木)の両日、今回と同じ有楽町朝日ホールにて常盤氏の大会長のもと開催予定である。

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