2023年11月5日掲載

各分野の専門家より最新の知見や情報が共有される

岩手県母子歯科保健研修会開催

岩手県母子歯科保健研修会開催
 さる11月5日(日)、岩手県歯科医師会館において、岩手県母子歯科保健研修会(岩手県歯科医師会、母子保健推進会議主催、岩手県後援)が開催され、歯科医療従事者をはじめ自治体母子保健および児童福祉関係者ら約100名が参加した。

 開会後、主催者を代表し、佐藤 保氏(岩手県歯科医師会会長)は「4月にこども家庭庁が発足されたが、その活動に関して地域や自治体に浸透しているとはいいがたい。母子保健に必要な、特に母子歯科保健で何が重要であり、市町村が今後どのように対応・連携していくべきかについて本日の研修をつうじて学んでいただきたい」と述べた。また、佐藤拓代氏(医師、母子保健推進会議会長)は「児童福祉法の改正によって来年4月から自治体に『こども家庭センター』の設置(努力義務)を課すこととなる。児童福祉と母子保健が一緒になることで、市町村として何をすべきか力が試される時がやってきた。そのなかでも母子保健はたいへん重要な部分だと認識している」と参加者へメッセージを送った。

 その後、岩手県の母子歯科保健の現状をはじめ、妊娠期からのう蝕予防、虐待に対する歯科からのアプローチなど、それぞれの分野の専門家より最新の知見や情報が共有された。以下に演題と演者を示す。

講演1「岩手県の小児期の歯科の現状と取り組み」岡田治郎氏(岩手県歯科医師会常務理事)
講演2「未来につなぐ齲蝕予防戦略として母子保健の可能性を探索する~マイナス1歳からはじめるむし歯予防~」仲井雪絵氏(静岡県立大短期大学部歯科衛生学科教授)
講演3「こども家庭センター設置に向けて」佐藤拓代氏
講演4「歯科からこども虐待の早期発見、防止のためにできること」岩原香織氏(日歯大生命歯学部歯科法医学講座教授)
講演5「小児科臨床と法医学から診るこども虐待〜医療とこども家庭センターとの連携〜」仙田昌義氏(医師、総合病院国保旭中央病院小児科部長)

 講演後には佐藤 保氏による座長のもと、ディスカッション「こども家庭センターとの連携で岩手県のこどもたちを守る~それぞれの立場でできること、すべきこと~」が開催された。ディスカッションの前には浅沼圭美氏(矢巾町健康長寿課長)による事例報告「切れ目のない子育て支援の実現を目指して」が行われ、矢巾町における母子保健事業の取り組みが供覧され、同町の強みを生かした支援としてワンストップ拠点の確立の方向性が示された。また、ディスカッションでは、地域や各関係機関との連携、相談しやすい環境づくりなど、今後の必要性が挙げられ、こども家庭センターの方向性を参加者全員で考える時間が共有された。

関連する特集