2023年11月5日掲載

歯科技工士を中心に約40名が参集

第67回岐阜県歯科技工学術大会開催

第67回岐阜県歯科技工学術大会開催
 さる11月5日(日)、岐阜市庁舎(岐阜県)において、岐阜県歯科技工士会(新川哲矢会長)による第67回岐阜県歯科技工学術大会が開催され、約40名の歯科技工士が参集した。

 本会は、岐阜県立衛生専門学校出身の新進気鋭の3名の演者を招聘し、各演者がこれまでの歩みを振り返ることで、今後の歯科技工業界に対する考えを若手歯科技工士に伝えるために企画されたもの。午前・午後で、各演者が2回ずつ登壇する構成となっており、午前は岐阜県立衛生専門学校を卒業してから現在に至るまでの歩みを紹介し、午後は現在行っている臨床をベースにしつつ、今後の歯科技工業界に対する展望を語った。

 松田健嗣氏(歯科技工士、greKen dental lab)による「これまでの歩みと今取り組んでいること―アナログとデジタル―」の午前の講演では、岐阜県立衛生専門学校卒業後にシバタセラミックに就職した当時の考え。そして、数年で歯科技工士を辞め、サラリーマンとして別業界に転職するも、再度、歯科技工士としてシバタセラミックに復職した経緯を紹介した。その後、大阪セラミックトレーニングセンターを受講したことが転機となって現在に至ることが語られた。午後からは、独自の実験によって検証したセラミックワークにおけるオパシティコントロールについて、レイヤリング法とモノリシックジルコニアへのステイニング法に分けて解説した。また、現時点における自社のデジタル技工への取り組みも紹介した。

 石原広規氏(歯科技工士、ワールドラボ)による「アメリカでの経験から伝えられること―今、歯科技工士としてできること―」の午前の講演では、岐阜県立衛生専門学校卒業後にA.D.T.Cプログラムを受講するために渡米し、修了後に米国にあるKoga Enterpriseに就職した経緯を説明した。午後からは、憧れの存在だった林 直樹氏(歯科技工士、Ultimate Styles Dental Laboratory)と一緒に働くために行っていたさまざまな取り組みを紹介した。さらに、実際にUltimate Styles Dental Laboratoryに勤務後に林氏から学んできたことを紹介しつつ、帰国して同じグループのワールドラボに勤務するようになったきっかけを、日米で製作したケースを織り交ぜながら語った。

 井上陽介氏(歯科技工士、IEDITION)による「歯科治療における歯科技工士の役割―これからの時代を踏まえ考えなければならないこと―」の午前の講演では、岐阜県立衛生専門学校卒業後に石原氏と同じくA.D.T.Cプログラムを受講するために渡米し、修了後、米国にあるAu Ceramに就職、帰国後は有限会社ファイン(上原芳樹代表取締役)、松川歯科医院(奈良県、松川敏久院長)に勤務し、開業に至るまでの経緯を紹介した。午後からは、歯科技工士は補綴装置を製作するだけではなく、より深く歯科治療に携わる必要があることを強調し、そのためのツールとして診断用ワックスアップとプロビジョナルレストレーションの重要性をデジタル技工に対する考えも絡めて解説した。

 本会のように、臨床的な内容のプレゼンテーションと同時に、その演者のこれまでの歩みをじっくりと聞く機会は多くはない。会場に集まった若手歯科技工士にとっては、自身の将来を考える良いきっかけになったのではないだろうか。

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