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2023年11月18日

(一社)日本外傷歯学会、第13回日本外傷歯学会西日本地方会総会・学術大会を開催

「口腔科学に基づく外傷歯治療の再考」をテーマに

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 さる11月18日(土)と19日(日)の両日、岡山県歯科医師会館(岡山県)において、一般社団法人日本外傷歯学会による第13回日本外傷歯学会西日本地方会総会・学術大会(入江正郎大会長、木村光孝理事長)が開催され、110名以上の歯科医療者が参集した。「口腔科学に基づく外傷歯治療の再考」というテーマのもと、接着歯学や外傷歯の診断・治療、外傷事故の法律問題、さらには動物の外傷歯治療までの幅広い講演が行われた。

 大会長講演「接着歯学の再考」では、入江氏(岡山大博士研究員)が登壇。ライフワークとして研究してきた口腔内でのバイオマテリアルの接着強さについて、自身の実験をふまえた知見を述べた。患者への負担を考え、修復処置は当日に行われるのが通例だが、複数の修復材料やボンディング材を対象とした氏の実験によれば、光照射直後よりも1日後に接着強さが顕著に向上するという。そこで、「修復処置は本当に当日が良いのだろうか?」と聴衆に再考を促した。

 基調講演「動物の口はふしぎがいっぱい―動物園の動物達も高齢化―」では、岡崎好秀氏(国立モンゴル医学科学大客員教授)が登壇。氏は動物園の獣医からの相談を受け、動物の歯科治療も行っている。あまたの症例のなかから、ここではトラ、イルカ、ゾウ、アザラシ、カバ、ライオンなどの症例を紹介した。飼育下の動物たちには、高齢による重度歯周炎が多いが、外傷もよく見られる。若いゾウが暴れて牙を折ってしまったケースでは、破折部の汚染組織の除去後、牙の根管内に水酸化カルシウムを充填した。ゾウはその体の大きさから全身麻酔ができないが(肺が自重でつぶれる)、その一方、ヒトの根管治療を応用した手法で歯科治療が行える。そうした意外な共通点に、聴衆は感嘆すること頻りだった。実際、氏は子どもたちや保護者に歯の大切さや歯科受診に興味をもってもらうために、動物の話が良いきっかけになると述べた。

 教育講演では、「小児の口腔外傷」のテーマで、春木隆伸氏(兵庫県開業)と野本知佐氏(愛媛県開業)が外傷歯治療のノウハウをそれぞれ語った。特に春木氏は、乳歯の陥入では「歯髄の治癒力と自然再萌出を期待し経過観察する」という治療法が取られがちだが、必要に応じて側方脱臼をともなっていないか確認し、整復固定を行うべきと述べた。乳歯の陥入については、「歯の外傷治療ガイドライン」(日本外傷歯学会)でも、「形成中の後継歯胚を障害している場合、あるいは転位が著しい場合を除いて(経過観察する)」と記されている。

 特別講演では、「院長先生、裁判所から照会書です!!―事例で考える外傷事故対応の法律問題―」の演題で、歯科医師であり弁護士でもある堀内美希氏が登壇し、歯科で日常起こり得る事例について、法的な対応のポイントを解説した。主なケースは以下のとおり。

(1)診療時間終了後、歯をぶつけた子どもを診てほしいと母親が血相を変えて来院。あなた(歯科医師)はこの後どうしても外せない予定があるが、診察を断っても法的に問題がないか。
(2)帰宅途中に不審者に殴られ歯が折れた患者A。犯人は警察が探しているところだが、治療に健康保険は使えるか。
(3)あなたの歯科医院宛てに、裁判所から患者Bのカルテ開示を求める照会書が届いた。あなたは開示にあたって患者の同意を取る必要があるか。また、カルテ開示にともなう費用を請求できるか。
(4)外傷歯治療が無事終了した患者C。この患者に関するカルテはどのくらいの期間保存すべきか。

 このほか10題の一般口演やランチョンセミナー、認定医更新セミナーが行われ、おおいに盛り上がりを見せた。