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2009年5月23日

第9回九州臨床再生歯科研究会講演会開催

塩基性線維芽細胞増殖因子(FGF-2)を用いた新規歯周組織再生療法の確立に向けて

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 さる5月24日(日)、福岡県歯科医師会館において、第9回九州臨床再生歯科研究会講演会(水上哲也会長)が200名近くの参加者を迎えて開催された。講師として村上伸也氏(阪大大学院歯学研究科教授)が招待され、歯周組織再生医学の進歩と、サイトカイン療法を中心としたperiodontal tissue engineering(歯周組織再生医工学)の将来展望について講演した。

 「塩基性線維芽細胞増殖因子」(FGF-2)とは、歯周外科時に歯周組織欠損部へ投与することで同部の歯周組織の再生を促すサイトカインである。2005年の書籍や、村上氏が2007年の『the Quintessence』でFGF-2についてまとめた際は、動物実験の結果までしか発表されていなかった。今回の講演では、臨床試験が進んでいて途中段階だがその成果が発表され、しかもPDGFとβ‐TCPを組み合わせたものと同等か良好な結果も出ていることが明らかにされた。FGF-2により再生された組織は、セメント質・歯根膜・歯槽骨とバランスよく再生されており、また、再生されたセメント質が有細胞セメント質だけなのではないかというほかの再生療法で議論になる不安事項もないという。また、72か月の長期の予後でも付着獲得量がほとんど減少しないことも報告された。

 歯根膜がない部位でも、骨を穿孔して出血させることにより骨中の未分化な細胞にFGF‐2が作用するともいわれることから、GBRやインプラント埋入時にも応用が期待されることもあって、早く臨床の現場で使用可能になることが望まれる。