Quint Dental Gate 歯科のコミュニケーションサイト

文字サイズ
標準
特大

トピックス


2009年10月4日

■財団法人御茶の水学会主催講演会

「歯科心身症―ほんとに気のせいでしょうか―」開催

ログインされますと、関連書籍が表示されます。
会員でない方はこちら
(※関連書籍がないトピックスは表示されません)

 さる10月4日(日)、東京医科歯科大学において、財団法人御茶の水学会(小椋秀亮理事長)主催講演会「歯科心身症―ほんとに気のせいでしょうか―」(医歯大歯科同窓会共催)が、講師に豊福 明氏(医歯大大学院頭頚部心身医学分野教授)を迎え開催された。

 「歯科心身症」とは、歯科領域における不定愁訴を有する状態を指し、舌痛症、顎関節症(咬合の異常感)、口腔異常感症などがある。その原因はまだ明らかになっていないが、大脳皮質連合野における情報伝達過程の歪みや、三叉神経から視床下部における神経伝達物質系の生化学的異常が考えられており、薬物療法による中枢神経系へのアプローチが有効とされている。

 本講演会では、まだあまり認知されていないこの歯科心身症について、その定義や症状、増加傾向にある患者の実態、治療法などについて解説した。また、歯科心身症患者の診療上の問題点として、
(1)患者の主観的症状(「歯を治療してから具合が悪くなった」など)が、歯科医師が行った治療行為の巧拙にすり替えられ対立構造となりやすい
(2)精神疾患ではなく歯科領域の病気であるために精神科や心療内科から治療を拒まれる
を挙げ、精神疾患との相違や、歯科医師が診療を行う必然性、一般開業医での対応について述べた。

 歯科心身症の発症を予見することは困難ではあるが、発症後の歯科医師の対応いかんで患者の感情的な問題に大きな違いがあり、また法的な問題に発展する可能性もあることから、患者の尊厳を重視して対応していくことが重要であるとした。