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2009年11月29日

日本メタルフリー歯科臨床学会・設立学術大会開催

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 さる11月29日(日)、日本歯科大学富士見ホール(東京都)において、約150名の参加者のもと、日本メタルフリー歯科臨床学会・設立大会(本間憲章理事長)が開催された。本学会は、近年、金属アレルギーに悩む患者に遭遇する機会が多くなり、金属材料の使用が必須とされる歯科領域でもこの問題への対応が強く求められていることから、"メタルに劣らない、身体により親和性に優れ、しかも審美的な歯科材料があり得る"との視点に立って、多くの議論を戦わせる場を設け、新しい医療の展開を模索していくことを目的に設立された。

 その第1回目となる本大会では、歯科材料・生体材料について「免疫学的な問題を考える」「新しい方向性を探る」「見た目・審美性の問題を考える」を3つの柱に、「金属アレルギーの診断と歯科治療」(服部正巳氏、愛院大教授)、「歯科用CAD/CAM CERECシステムによる即時メタルフリー修復」(風間龍之輔氏、医歯大大学院特任助教)、「メタルフリー時代におけるジルコニアインプラントへの期待」(本間氏)、「金属アレルギーと全身との関連性について」(山口全一氏、日歯大付属病院皮膚科臨床教授)、「Innovation in aesthetic dentistry」(Dr.K.Michael Ghalili、ニューヨーク大教授)の各テーマで講演が行われた。

 このなかで本間氏は、開業歯科医の立場から、チタンは安全な金属と思っている人が多いが、近年チタンアレルギーの報告が増えていると指摘。高額な費用を負担し、大いなる希望をもって治療を受ける患者にとって、インプラントが原因でアレルギー症状を生じた場合の落胆は大きく、法的問題にまで発展する可能性を考慮し、生体親和性の高い素材としてジルコニアインプラントの臨床応用の必要性を強調した。具体例として、すでに欧米で実績のあるZ-System社(ドイツ)のシステムについて、その概要と症例を報告した。

 また、Dr.K.Michael Ghaliliは、すでにメタルフリー治療なくして語れない、ニューヨーク大学歯学部における最新の審美歯科治療について、必要な哲学、テクニック、セオリーなどを紹介し、日本におけるメタルフリー歯科臨床の普及へ期待を寄せた。

 大気汚染や食物から摂取する添加物などに蝕まれて免疫機能が低下し、ナイーブな体質になっているといわれる現代人は、個体差はあるものの微量なアレルギー因子によっても過剰な反応がおきやすいと考えられている。本学会は、決して金属の使用を否定するものではなく、金属が使えない患者を考慮し、メタルフリーによる歯科材料・生体材料の無限の可能性を追求することを理念に掲げている。今後は、メタルフリーによる歯科臨床指針の策定(設立発起人:白川正順氏、日歯大教授・談)など具体的な臨床応用について、広く歯科関係者に向けて情報発信されていくことが期待される。