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2010年6月20日

Field Implant Dentistry Institute発足記念講演会開催

インプラント成功の鍵~咀嚼の重要性~

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 さる6月20日(日)、秋葉原UDX GALLERY(東京都)において、Field Implant Dentistry Institute(以下、FIDI)発足記念講演会が、参加者約230名を集め、盛大に開催された。FIDIは、インプラント治療におけるテクニック偏重主義とは一線を画し、患者さんおよび社会に対してインプラントを用いて健康を達成・維持することを目的として発足。当日は本グループの設立メンバーである5名の講師が登壇し、それぞれ講演を行った。

 最初に、武田孝之氏(東京都開業)が、今日の超高齢社会において歯科医療従事者が患者さんに発信・提供していくべき医療について言及。う蝕や歯周病に起因した単独歯欠損を始まりとして徐々に歯の欠損が拡大し、咀嚼機能が低下していくことが、いかに全身疾患のリスクを高めるかを患者さんに知ってもらい、健康維持のためにインプラント治療がおおいに役立つことを説いていくべきであると述べた。

 また、荒垣一彦氏(兵庫県開業)は、単独歯欠損におけるインプラントの適切な埋入位置と、おもに抜歯後即時埋入の術式について解説。綿密な診査・診断のもとTriangle of boneの概念に基づいた適切な治療計画を立案することの重要性を述べた。続いては桜井保幸氏(大阪府歯科技工所開業)が、自身の担当した荒垣氏の症例を供覧しながら、周囲歯肉の形態を適切に保つためのインプラント補綴物の製作法について解説した。

 つぎに、森田耕造氏(大阪府開業)は、複数歯欠損におけるインプラント治療のポイントについて、外科手技を中心に解説。審美領域における埋入位置、また歯槽頂アプローチにて上顎洞底を挙上する際のピエゾサージェリー、リフティングドリルの活用法などについて述べた。

 続いて、桜井氏が歯科技工士の立場から考えたインプラント埋入位置について言及。補綴物製作にあたって問題となる埋入位置の考察、さらには補綴物に用いられる各種材料について、その長所・短所を解説した。

 最後に、林 揚春氏(東京都開業)が、多数歯欠損患者、無歯顎患者におけるインプラント治療と咬合管理について解説。患者さんの年齢・希望を考慮した術式を選択することの重要性を強調するとともに、安易に抜歯を選択するのではなく、症例に応じてSubmerged Root Ponticなどを用いて残存歯を温存する方法を有効活用すべきだと述べた。

 講演後の質疑応答では、各演者が行っていた術式についての細かな質問や、増えつつある高齢の患者さんに対してどのようなコンサルテーションおよび治療計画立案を行うべきかといった質問がなされるなど、終始活況を呈した講演会となった。