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2010年8月8日

深井保健科学研究所、第9回コロキウム開催

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 さる8月8日(日)、日仏会館(東京都)において、深井保健科学研究所第9回コロキウム(深井保健科学研究所主催、深井穫博所長)が盛大に開催された。昨年の第8回コロキウム「健康を創り出す口腔保健・歯科医療の展開」に引き続き、今年も「健康」をキーワードに、「口腔の健康は測れるか?-健康における口腔保健の定義とその評価法-」のテーマで行われた。

 まず深井所長より「口腔保健は個人のQOLに深く関わるが、QOLの指標を歯科医療の中でどうとらえるのかがまだ不十分である。歯・口腔領域における疾患(disease)、器質的障害(impairment)、機能障害(functional limitation)、不快(discomfort)、能力低下(disability)、社会的不利(handicap)の具体像とその評価法について考えたい」という今回の趣旨説明がなされた。その後、2題の基調講演と、「健康をめぐる諸課題」をテーマとした8名による発表、総合ディスカッションが行われた。

 花田信弘氏(鶴見大歯学部教授)による基調講演「口腔の健康は測れるか?―障害の概念と口腔保健―」では、「既病」の前に「未病」の段階があることや、疾患や障害を患った際、その後の「社会参加」の否かが健康をとらえるうえでの1つの指標になるとし、「未病の段階で評価する」「口腔疾患および口腔機能障害と社会参加との関連で評価する」などの新しい提案がなされた。

 「医療費」や「ニーズとデマンド」「疾病構造の変化」「格差」「エンドポイント」「患者の不快さ」「受容と欲求」「家計」「寿命」など、さまざまな視点で展開された発表やディスカッションからは、「疾患」に終始してきたこれまでの歯科医療から、「健康」や「生活」に重きをおくことの重要性を認識できるものとなった。今回、健康を評価するための具体的な策が出るまでには至らなかったが、健康を創り出す口腔保健・歯科医療を展開するうえで、今後も引き続き議題の1つとしていきたいとした。