2011年6月26日掲載

訴訟時代の医療人に求められるコミュニケーション

<font color='green'><b>東京医科歯科大学歯科同窓会講演会開催</b></font>

<font color='green'><b>東京医科歯科大学歯科同窓会講演会開催</b></font>
 さる6月26日(日)、東京医科歯科大学(東京都)において、東京医科歯科大学歯科同窓会(西村 誠会長)による講演会が「訴訟時代の医療人に求められるコミュニケーション―『言葉』と『法律』―」をテーマに開催された。  まずは吉岡泰夫氏(別府大教授)が、自身の研究・調査結果などをもとに、患者さんとの適切なコミュニケーションと、用いるべき言葉の選択について詳細に解説。医療現場においては、できるだけわかりやすい言葉で説明を行うとともに、医療ポライトネスストラテジー(患者さんの要望や欲求を察知し、できるだけそれを満たすように働きかけるコミュニケーション方略)を施行することが肝要であると述べた。また質疑応答時には、多くの聴講者が、実際に日常臨床で直面する患者さんとのコミュニケーション問題を例に挙げ、「どう対応すべきか」について吉岡氏にアドバイスを請うなど、盛況を博した。  続いて稲葉一人氏(中京大法科大学院教授)が、医療に関する法知識について解説。医療行為が法的な契約に基づいて提供されるものである以上、法律について学ぶことは医療者・歯科医療者の責務であることを強調した。さらに、医療に関する責任として過失による被害と説明義務の2つを挙げ、医療紛争を起こさないためのポイントについて実例を交えながら詳しく解説した。また、質疑応答では、実際に歯科医院で起こりうる法律のトラブルについて、さまざまな質問が投げかけられた。  医療界全体の実情を加味した両氏の講演はいずれも示唆に富んだ内容であり、今後の歯科界で語られるべきコミュニケーションや法律の問題が提起される講演会となった。

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