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2011年10月7日

第22回日本歯科審美学会学術大会開催

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 さる10月7日(金)から9日(日)の3日間、奈良県新公会堂において、第22回日本歯科審美学会学術大会(末瀬一彦大会長、佐藤 亨学会長)が「いにしえの都で審美を語ろう 温故知新」をテーマに開催された。会場ではポスター発表を含めてのべ61題が発表され、のべ約600名が参加する盛会となった。以下、主要なシンポジウム・企画講演について概説する。

(1)シンポジウム1「インプラントの埋入時期と審美性」(日高豊彦氏〔神奈川県開業〕、中田光太郎氏〔京都府開業〕、南 昌宏氏〔座長兼演者、大阪府開業〕)

 本シンポジウムでは、日高氏が「審美的インプラント修復におけるプロトコル」と題し、また中田氏が「審美領域のインプラント治療における早期埋入(抜歯後4~8週)の優位性」と題し、そして南氏が「インプラント周囲組織の審美性を獲得するために」と題してそれぞれ講演。インプラントの埋入時期に関する文献ベースの考察はもちろん、術後の審美性に関わるインプラントポジションやソケットプリザベーションの方法、そしてプラットフォームシフティングの理論に至るまで、さまざまな角度から審美的なインプラント治療のための治療計画・手技について検証がなされた。

(2)シンポジウム2「よりよい個性美をめざして」(山崎長郎氏〔東京都開業〕、石井さとこ氏〔東京都開業〕、西村好美氏〔デンタルクリエーションアート〕、六人部慶彦座長〔大阪府開業〕)

 本セッションでは、山崎氏が「修復治療の新しい展開」、石井氏が「ミス・ユニバースなどグローバルスタンダードの美と日本の個性美について」、そして西村氏が「審美と永続性」と題してそれぞれ講演。山崎氏は自らが審美修復治療に携わってきた経緯と症例のクラシフィケーションについて、石井氏はミス・ユニバース・ジャパンオフィシャルサプライヤーとしてさまざまな著名人の治療を行う中で体得してきた日本人ならではの個性美とその表現について、そして西村氏は「天然歯のルールを守ったうえでの個性美」をキーワードに、症例にあわせて考慮すべき形態と表面性状などについてそれぞれ詳説した。患者の数だけ存在するといえる個性美を実現するためには、いかに術者の引き出しの多さとスキルが必要かを実感できる内容となっていた。

(3)企画講演「Invisible Beauty -The Behind of Smile Creation」(Jon Y. Yoshimura氏〔米国・ハワイ州開業〕、林 直樹氏〔米国・Ultimate Styles Dental Laboratory〕)

 本企画講演では、近年日本国内での知名度が向上中のYoshimura氏と、すでに斯界ではおなじみの林氏がリレー講演によって3症例を提示。いずれも初診時からメインテナンス時に至るまで、チェアサイド-ラボサイドの密接な連携が感じられる症例揃いであった。また、講演中には「Lip Dynamics」という氏らの造語が頻繁に登場。スマイル時だけでなく、日常生活におけるあらゆる唇の動きと調和した補綴物製作を目指すことの重要性が強調された。また、製作過程における「形成ガイド用模型(歯科技工士が診断用ワックスアップ後に模型上で支台歯形成を行ったもの。これを歯科医師に渡し、ディスカッションすることで実際の支台歯形成に生かす)」や「コンプリメンタリーカラー陶材(ノリタケデンタルサプライ、モリタ)」の応用など、実際的なテクニックについても多数示された。

 なお、会場ではこの他、教育講演や歯科技工士セッション、歯科衛生士セッションなども盛況となっていた。来年度の本学会学術大会は北海道大学を主管校とし、札幌コンベンションセンターにて2012年7月20日(金)から22日(日)に開催予定とのこと。