2020年2月号掲載
歯科医療は「歯」から「口腔」へ
今回の改定において、公表されている予算案の中では今後の歯科医療の変化を感じた点があった。それは「歯」から「口腔」へと移り変わったことだ。
前回の改定で新たな病名として口腔機能低下症が加えられ、摂食嚥下障害の分野においても歯科医師、歯科衛生士が重要な役割を担っている。歯科医療の中では、従来の歯や歯肉を対象とした器質的な歯科疾患だけでなく、口腔全体がもつ機能にも視点が加わっている。
歯科の改定率は、プラス0.59%という限られた財源の中で、その流れを点数評価として定まるかが大きなポイントの1つである。加えてフレイルなど口腔機能予防政策の中で、どれだけ歯科が活動可能となる政策が示されるのか。しかし現状では、口腔機能低下症は採算が合わず、方向性は理解しても積極的に推し進めることは難しい。もし財源がないとするならば、口腔機能低下症も自由診療として考えるのか。歯科医師は霞を食って生きていけない。