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2020年11月号掲載

新型コロナウイルスから学ぶべきこと

 新型コロナウイルス(以下、COVID-19)は瞬く間に広がり、パンデミックを引き起こした。人類の歴史は感染症との闘いだと聞かされてはいたが、私を含め多くの人々は、パンデミックは自分たちの問題ではなく、歴史上の出来事だと捉えていたように思う。2020年は、人類史の1ページに「COVID-19によるパンデミック」という聞き慣れてしまった言葉が深く刻み込まれる年となった。

 現在、世界中の専門家たちは、ワクチンや治療薬などの開発に力を尽くしている。また医療現場では目の前の患者の命を救うために奮闘する医療人がいる。やがてそれらの努力が報われ、感染拡大はひとまず収束し、もしかすると集団免疫が獲得できるかもしれない。その日が来ることを世界中の人々が待ち望んでいる。

 COVID-19への対応や対策に日々追われている私たちが、けっして忘れてはならないことがある。気候変動や資源枯渇、核兵器など、これまで経験したことのない大きな世界的危機が迫っているのである。心にザワつきを感じるのは私だけだろうか。

 カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)地理学教授のジャレド・ダイアモンド氏は近著の中で、「今、我々の眼の前に迫っているのは地球規模、グローバルな崩壊です。(中略)もし、このパンデミックが共通の脅威だという認識で一致し、世界が一丸となって解決することができれば、気候変動や資源枯渇といった問題も続けて解決するチャンスになります」と述べている。

 次世代のためにできることはすべてやる。時間はあまり残されていない。