関連キーワード

2025年10月号掲載

歯科技工70年の歩みを礎に100年への挑戦

※本記事は、「新聞クイント 2025年10月号」より抜粋して掲載。

 本年、歯科技工士法の制定、そして日本歯科技工士会(日技)が創立されて70年の節目を迎える。それ以前には歯科技工に資格制度がなく、歯科技工界は無秩序な状態に置かれていた。

 国民の口腔健康を守るには、歯科技工を専門職と認め、教育と免許制度を整え、業務を法的に規定することが不可欠であった。こうして1955年に歯科技工法(1965年に歯科技工士法に改正)が制定され、国家資格制度や養成機関、試験制度が矢継ぎ早に整備され、制度は社会に根付いていった。

 これらの改革は、全国を奔走し仲間と声を合わせ続けた先人たちの不屈の情熱と努力の賜物である。その後も業界は転機を迎え、新素材やデジタル技術の導入、労働環境や報酬の問題、近年では歯科技工士不足の社会問題などの課題がある。

 公益社団法人である日技は、国民の健康寿命の延伸を支える職能団体として、良質な補綴物を安定的に届けることを存在意義とする。社会の変化に合わせ、全国歯科技工士教育協議会や日本歯科技工所協会との連携を強化し、行政や関係団体に訴えていく。同時に管理者講習や認定制度によるコンプライアンスの確立、地域や規模を超えた歯科技工所間の連携によって人材不足を補う仕組みの整備を進める。また、DXによる省力化や情報発信の迅速化、歯科技工所の大規模化に対応した組織改革が求められる。

 日技は70年の歩みを誇るのみならず、100年を見据え次代を切り拓く旗手として、新たな責任をみずから果たしていく。