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2025年7月号掲載

オーバーレイ修復、始めてみませんか?

“オーバーレイ修復”のステップや 勘所をビジュアルに解説した1冊

 小社2025年5月の新刊として、辻本真規氏による著書『オーバーレイ修復 超入門』が刊行されました。本欄では、辻本氏に本書の特徴や読みどころ、活用法などについて語っていただきました。 (編集部)

オーバーレイ修復の成書を作りたかった

 昨今、特に若手歯科医師を中心にオーバーレイ修復への関心が高まっていると感じています。ただ、オーバーレイは大学では教わりませんし、教科書のようなものもありませんでした。私自身、試行錯誤しながらも臨床応用していくうちに良好な治療結果が出てきたので、オーバーレイ修復がたいへん良い治療法だという確信に至り、今回書籍にまとめようと思ったのが発刊のきっかけです。「オーバーレイの本を作ったら、これから始めようとする先生方のためになるのではないか?」と思ったからです。

オーバーレイ修復のステップをビジュアルに解説

 オーバーレイ修復といっても、よく知らない読者がほとんどだと思います。特に、ベテランの歯科医師でクラウン修復を中心に行ってきた先生にとっては理解しづらい点も多々あると思います。そういった点をふまえながら、「そもそもオーバーレイって何?」といった素朴な疑問に答えるような形で、ビジュアルに見せてわかりやすくステップを追いながら解説することを意識して執筆しました。本書は、8 つのCHAPTER で構成しています。「CHAPTER 1 オーバーレイ概論」では、オーバーレイとは何かが目で見てわかるように解説しています。その他のCHAPTER も同様に、現時点でのエビデンスもきちんと入れています。
 「CHAPTER2 オーバーレイの選択基準」では、「どれくらいの窩洞になったらオーバーレイにしてよいのか?」「これで本当にオーバーレイにしてよいのか?」など、初心者でもわかりやすいように、「これくらいになったらしてもいいじゃないか」という選択基準を示せていると思います。
 「CHAPTER 3 オーバーレイの形成デザイン」では、特有のデザインを知っていただくために、どこがポイントなのか、考えるべきことをまとめています。続く「CHAPTER4 臼歯部間接接着修復(PIAR)の手順」では、実際の形成手順についてステップごとに詳細に解説しています。
 「CHAPTER5 オーバーレイのためのラバーダム防湿」では、さまざまなパターンや応用法を紹介しており、プラスαの小技として、スーパーフロスを用いたテクニックなども載せています。
 私は接着修復の専門家ではありませんが、接着の基本をよく理解されていない先生が多くいらっしゃる印象があります。「CHAPTER6 Immediate dentin sealing(IDS)」では、IDSの基本についてわかりやすく紹介し、「CHAPTER7 オーバーレイの接着操作」では、具体的なステップと方法について解説しています。
 最後の「CHAPTER 8 フローチャートを用いたオーバーレイ修復の実際」では、本書の特別付録として掲載しているフローチャートを用いながら、さまざまなタイプの6 症例でそのステップの実際を学べます。「こんな症例がきたらオーバーレイ修復でいけるんだ」ということが具体的にわかると思います。

チェアサイドでスタッフにも活用してもらいたい特別付録

 先ほど紹介したチャートのほかに、オーバーレイのセット手順において、コンポジットレジンの場合とレジンセメントの場合をまとめたそれぞれの表を、特別付録として掲載しています。スタッフにもチェアサイドで有効活用いただけるものと思います。
 本書は、臨床的すぎず、エビデンスばかりでもなく、「まずはオーバーレイ修復を始めてみよう」という読者の方々に向けて、なるべくバランスよくわかりやすく解説することを意識しました。
 ぜひ、本書をお手にとっていただき、明日の臨床に活かしていただければ幸いです。

図1 特別付録の1つ、「窩洞に対する修復処置の選択チャー ト」。
図2 臼歯部間接接着修復(PIAR)の手順。
図3 図1のチャートに則ったタイプ別の症例の実際。