関連キーワード

2024年7月号掲載

第6話:小児歯科医が担う自律支援の取り組み(後編)

※本記事は、「新聞クイント 2024年7月号」より抜粋して掲載。

小児歯科医が果たすべき役割
子ども虐待の早期発見・対応

 前編では、小児歯科の現状と取り巻く課題を整理し、子どもたちが生涯健康で過ごすための自律獲得支援の必要性を解説いたしました。後編では、不適切な子どもとのかかわり(以下、子ども虐待)が疑われる子どもが来院してきた際の対応や、今後の小児歯科の展望について述べたいと思います。
 小児歯科医は1歳6か月児および3歳児健診、学校歯科健診、定期検診などをはじめ、ほぼすべての子どもたちに接する機会があり、子ども虐待を早期に発見しやすい立場にいます。特に、近年では心理的虐待のケースが増加傾向にあります。極端な口腔清掃不良やう蝕による崩壊が見受けられる子どもは言わずもがなですが、う蝕傾向が改善された現況において、う蝕のない子どもでも虐待を受けている可能性を意識しておく必要があります。
 なお、子ども虐待の防止に関する法律において歯科医師は、「子ども虐待の早期発見に努めなければならない」ことが定められています。子どもの虐待は社会的な問題として広く認識されていますが、いざその場面に遭遇した際に虐待の確信がもてずに通報することに不安やためらいの気持ちを抱くスタッフ・先生方が多いのではないでしょうか。そのため、日本小児歯科学会では子ども虐待防止対応ガイドラインを整備するとともに、「診断用アセスメントシート」1を作成しています(図1)。また、虐待が疑われる場面に遭遇した際には、ひとりで抱え込まずに複数のスタッフの見解をもとに対応を判断すると良いでしょう。なお、虐待に関する相談・通告は守秘義務違反には当たりません。
 子ども虐待は、両親の経済的・社会的な理由や過度な子どもへの期待・理想とのギャップから生じる憤りなどを背景に、子育てに難航することから起こるケースが多いように思われます。一朝一夕にはいきませんが、少子化が加速的に進む日本において、子育てを社会全体で支えるといった意識改革やそのための体制構築が必要であるように思います。

続きを読むには…

この記事は会員限定です。

会員登録すると読むことができます。