2025年7月号掲載
第6回 地域を支える多職種連携の必要性
※本記事は、「新聞クイント 2025年7月号」より抜粋して掲載。
高齢者に対する診療ケアのアプローチと注意点
近年、日本では8020運動の推進もあり、高齢者の歯の残存数は確実に増加している。75 歳以上でも20本以上の歯を保つ人が全体の過半数を占めるようになり、これは咀嚼機能の維持や笑顔の自然さ、QOL の向上といった面で非常に好ましい変化である(図1)。一方で、歯が多く残っていることにより新たな課題も浮かび上がっている。高齢者は加齢によって手先が不自由になりやすく、プラークコントロールが困難になるケースが多い。その結果、誤嚥性肺炎のリスクや根面カリエスの発生率が高まり、口腔内が全身疾患の温床となる可能性がある。
また、家族や介護士が「歯がある=何でも食べられる」と誤解することも少なくない。しかし、噛む力はあっても飲み込む力が衰えている高齢者は多く、嚥下機能の低下を見落とすと誤嚥や栄養障害につながる危険性がある。これらの課題に対応するためには、歯科だけでなく多職種との連携による支援が欠かせない。